2011 Fiscal Year Research-status Report
CCN2のメタボリックサポーターとしての機能解明とその臨床応用研究
Project/Area Number |
23592216
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
三宅 由晃 岡山大学, 大学病院, 医員 (70594810)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青山 絵理子 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (10432650)
古松 毅之 岡山大学, 大学病院, 助教 (20432651)
久保田 聡 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (90221936)
尾崎 敏文 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (40294459)
滝川 正春 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (20112063)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | CCN2 |
Research Abstract |
変形性関節症 (OA) は現在社会の高齢化に伴い年々増加の一途を辿っている運動器疾患であり、患者のQOLを大きく損ない、また社会に対する負担を増大させる。従ってその予防と治療は今日の医学的急務である。最近の研究で結合組織成長因子(CTGF)という名でも知られるCCN2が、このOAの予防および治療に有効であるとの報告があり臨床応用が期待されているが、新奇な性質を持つ分子だけにその作用機序については未解明の部分が多い。本研究では申請者らが最近得た知見を突破口として、このCCN2分子の持つ軟骨代謝を根底から支えるメタボリックサポーターとしての重要な新機能を明らかにする。そしてその成果を生かし、より適切なOA治療戦略の樹立と、OAに留まらない広範囲な臨床応用にむけての基礎を築くことが本研究の目的である。まず、野性型マウスとCCN2ノックアウトマウスの肋軟骨細胞からRNAを抽出してマイクロアレイによる比較解析を行ったところ、ATPシンターゼsubunit γ遺伝子の著明な発現低下、そして数多いリボソームタンパク質遺伝子群の著しい発現上昇が観察された。そこでまず、逆転写リアルタイムPCR法により当該遺伝子mRNAを定量したところ、網羅的解析の結果と同様の結果が得られた。次に、CCN2遺伝子ノックダウンが上記遺伝子群の発現に与える影響のヒト細胞での検討を行った。ヒト軟骨細胞様HCS-2/8細胞株に対してRNA干渉の手法で一過性のCCN2遺伝子ノックダウンを行ったところ、同様の効果が再現された。CCN2遺伝子発現抑制が軟骨細胞ミトコンドリアの酸化的リン酸化能力に与える影響を評価するため、CCN2をノックダウンしたHCS-2/8細胞からミトコンドリアを分離し、それらによる試験管内でのATP合成能力を定量評価している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CCN2遺伝子発現抑制が軟骨細胞ミトコンドリアの酸化的リン酸化能力に与える影響を評価するため、CCN2をノックダウンしたHCS-2/8細胞からミトコンドリアを分離し、それらによる試験管内でのATP合成能力を定量評価を現在、行っているところである。
|
Strategy for Future Research Activity |
(1)CCN2遺伝子発現抑制が軟骨細胞ミトコンドリアの酸化的リン酸化能力に与える影響の評価:CCN2をノックダウンしたHCS-2/8細胞からミトコンドリアを分離し、それらによる試験管内でのATP合成能力を定量評価する。ミトコンドリアの分離は通法に従って行い、ATP合成量は市販の実験キットによって行う。(2)CCN2遺伝子発現抑制が軟骨細胞の他のミトコンドリア機能に与える影響の評価:CCN2ノックアウト軟骨細胞を透過性電子顕微鏡で観察し、ミトコンドリアの構造を野性型と比較検討する。並行してクエン酸回路や、ミトコンドリア外で行われるが密接な関連のある解糖系などの代謝経路の活動性の生化学的評価も行う。(3)CCN2遺伝子過剰発現・添加が上記ミトコンドリア機能に及ぼす影響の解析:CCN2の過剰発現プラスミド、ならびにリコンビナントタンパク質をHCS-2/8細胞に遺伝子導入、あるいは外部から添加し、ノックダウン実験でみられたような代謝関連遺伝子の変動と逆の現象がみられるかを定量的に検証する。またその結果として現れるミトコンドリア機能の変化に関しても、ノックダウン実験の場合と逆の効果が現れるか否かを同様の方法で検証する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究消耗品80%、旅費20%の使用を計画している。
|