2012 Fiscal Year Research-status Report
軟骨変性の進行における小胞体ストレスの役割に関する分子生物学的解析
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23592219
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
水田 博志 熊本大学, 大学院生命科学研究部, 教授 (60174025)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣瀬 隼 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (40433007)
岡田 龍哉 熊本大学, 医学部附属病院, その他 (90588401)
高田 興志 熊本大学, 医学部附属病院, その他 (70599430)
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Keywords | 軟骨変性 / 小胞体ストレス / 小胞体ストレスセンサー蛋白遺伝子 |
Research Abstract |
【目的】変形性関節症(OA)における軟骨変性の進行機序として小胞体ストレスの関与が注目されており、われわれは平成23年度の研究で小胞体ストレス性アポトーシスに重要な因子であるChop遺伝子をノックアウトすることで軟骨変性が抑制されることを示した。小胞体ストレス応答では小胞体膜上の3つのセンサー蛋白 (Perk, Ire1α、Atf6) が活性化することによって様々な転写因子の発現が増加し、タンパク質の恒常性維持に働く。平成24年度の研究目的は、小胞体ストレスセンサー蛋白遺伝子欠損マウスを用いて、各センサー蛋白の役割を明らかにすることである。 【方法】6-7ヶ月齢雄のPerk+/-、Ire1α+/-、Atf6α-/-およびAtf6β-/-マウスおよびwild typeのC57BL/6Jマウスを用いて、右膝関節の内側半月切除および内側側副靭帯切離によるOAモデルを作成した。4週後に屠殺し、膝関節を摘出してパラフィン切片を作製し、軟骨変性をSafranin-O染色によるmodified Mankin score、アポトーシスをTUNEL染色の陽性細胞率によりそれぞれ評価した。 【結果】軟骨変性はwild typeマウスと比較してPerk+/-、Perk+/-、Ire1α+/-、Atf6β-/-マウスでは同等であったが、Atf6α-/-マウスでは有意に進行した。Atfα-/-マウスではアポトーシスもwild typeと比較して有意な増加を認めた。 【考察および結論】Atf6は哺乳動物ではαとβの2種のアイソフォームが存在するが、分子シャペロンや小胞体関連分解因子の転写を制御してタンパクの品質管理を担うのは、主にAtf6αとされている。本研究により、小胞体ストレスセンサー蛋白の中でAtf6αが軟骨細胞の恒常性維持には重要であり、OAの進行により深く関与することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、平成24年度には、wild typeマウスと4種類の小胞体ストレスセンサー蛋白遺伝子欠損マウスを用いた膝OAモデルで、軟骨変性の進行とアポトーシスの頻度の比較検討とともに、pPerk、Chop、Grp78発現による小胞体ストレスの評価、II型コラーゲン、アグリカン、Mmp13発現による軟骨細胞機能の評価を終了する予定であった。しかし、小胞体ストレスセンサー蛋白遺伝子欠損マウスの繁殖と飼育に予想以上の長期を要したため、膝OAモデルの作成が予定より遅れた。このため、全ての解析サンプルの採取は完了しており、解析主項目である軟骨変性の進行とアポトーシスの頻度の比較検討については結論を得ることができたが、小胞体ストレスの評価、軟骨細胞機能の評価については現在解析中であり、4月末に最終結果が得られる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
【目的】平成24年度に引き続き、小胞体ストレスセンサー蛋白遺伝子(Perk、 Ire1、 Atf6)の軟骨変性における役割をより明確にするために、軟骨培養細胞系において各遺伝子のノックダウン細胞を用いた解析を行う。 【方法】C57BL/6Jマウスの大腿骨頭より採取した関節軟骨から軟骨細胞を単離し、培養する。この軟骨細胞培養系で、Perk、 Ire1、Atf6それぞれの遺伝子発現をsiRNAとLipofectamineを用いて抑制する。その後に小胞体ストレス誘導剤Tunicamycinを投与し、24時間後に軟骨細胞のアポトーシスをTUNEL染色で評価する。また、軟骨細胞からタンパクとmRNAを抽出後、軟骨細胞機能をII型コラーゲン、アグリカン、Mmp13の発現で評価し、また小胞体ストレスをXbp1sの発現で評価する。さらに培養液中のII型コラーゲン、アグリカン、Mmp13量を測定する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
マウス購入費 120.000円(1.500×80) 細胞培養試薬(DMEM×20:16.000円、DMEM/Ham's F-12×20:20.000円、Pen Strep×3:12.000円、FBS×3:14.000円)62.000円 小胞体ストレス誘導剤(Tunicamycin) 30.000円 遺伝子発現抑制剤(siRNA)336.000円(112.00×3) 解析用試薬:蛋白解析用試薬 252.000円(84.000×3)RNA解析用試薬 450.000円(150.000×3) 細胞死検出試薬 150.000円(75.000×2)
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Research Products
(2 results)