2011 Fiscal Year Research-status Report
骨量規定転写因子シュニュリ3の新規標的遺伝子同定と機能解析
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23592222
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
石堂 康弘 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 特任准教授 (10300740)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 真吾 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 特任准教授 (60353463)
小宮 節郎 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (30178371)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | Schnurri3 / 骨芽細胞分化 / Runx2 |
Research Abstract |
まずin vitro骨芽細胞分化とShn3発現パターン(BMPシグナルとの相関)を検討した。マウス骨芽細胞株MC3T3-E1、マウス胎仔頭蓋骨由来初代骨芽細胞、骨髄ストローマ細胞ST-2やD1、マウス成獣骨髄ストローマ細胞 (MSC)を動員して、BMP-2、又はBMP-9により骨芽細胞分化を誘導し、各遺伝子発現プロファイルを比較した。シュニュリ3(Shn3)のdirect target geneであり骨芽細胞分化抑制機能を担う遺伝子の検索を行う為に、Shn3のsiRNAによるノックダウンを骨芽細胞株MC3T3-E1細胞で行い、Shn3のloss of functionで得られるはずの"骨芽細胞分化亢進"を認める系を見極めた後、この系をマイクロ・アレイで解析し、Alg2, Smpd3, Peg10等を抽出した。その中で、まず発現レベルが骨芽細胞細胞の中で高く、これまでに骨芽細胞分化に関する報告が全く無いAsparagine-linked glycosylation 2(Alg2)を候補遺伝子として選択した。Alg2はShn3の過剰発現によって発現亢進する事が確認され、プロモーター上にShn3結合配列kappaBモチーフを有する事から、直接の標的である事が強く疑われた。Shn3のRunx2以外の作用点を探るという本研究の目的から、Alg2のノックダウンに伴うRunx2蛋白レベルをウエスタンブロットで確認すると、Shn3ノックダウンとは対照的にRunx2蛋白レベルは不変だったが、骨芽細胞分化をShn3ノックダウンと同じく亢進した。すなわち、Alg2はShn3の下流で骨芽細胞分化抑制に働くShn3の役割の一端を担うが、その作用点はRunx2分解ではない事が示唆され、まさしく本研究目的に合致する候補遺伝子が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Shn3はRunx2蛋白を分解する事で骨芽細胞分化を抑制するが、Shn3のそれ以外の作用点を探るのが本研究目的である。Shn3ノックダウンによって発現が低下し、過剰発現によって発現亢進する遺伝子であり、かつそのゲノムのプロモーター上にShn3結合配列を有する遺伝子としてAlg2を同定出来た。Alg2のノックダウンによってRunx2蛋白レベルは変化せず、しかしShn3のそれと同じ方向に骨芽細胞分化は亢進された。本研究目的に合致する候補遺伝子が抽出出来たという点で、研究は順調に進んでいると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
Shn3抗体を用いたChIP解析を行い、Alg2がShn3の直接標的遺伝子である事を証明する。Alg2の骨芽細胞分化に与える影響を詳しく検証する。すなわち、マウス骨芽細胞株MC3T3-E1、マウス胎仔頭蓋骨由来初代骨芽細胞、骨髄ストローマ細胞ST-2やD1、マウス成獣骨髄ストローマ細胞 (MSC)を動員して調べる。またマウス組織を用いてin vivoにおけるAlg2の発現パターンをShn3のそれと比較検討し、骨格における発現レベルの特異性について検討する。Alg2発現ウイルスについては、アデノウイルスとレンチウイルスを作成し、分化実験に供する。Shn3は軟骨形成にも関与する事がマウスモデルで示唆されているので、Alg2の軟骨細胞分化への影響もATDC5細胞等を用いた分化解析に着手する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
細胞培養関連、RNA抽出/cDNA作成関連、リアルタイムPCR関連、分子生物学関連、抗体、BMPリガンド、遺伝工学関連等の消耗品、マウス購入・維持費等に950,000円、国内外の学会における成果発表に伴う旅費に350,000円、計1,300,000円を使用予定である。当初タイリングアレイ等外注依託解析の必要性を考えてその解析費を"その他"の項目に充てていたが、現時点では優先順位が下がった為、その分を消耗品購入に充てる予定である。
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