2012 Fiscal Year Research-status Report
骨量規定転写因子シュニュリ3の新規標的遺伝子同定と機能解析
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23592222
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
石堂 康弘 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 特任准教授 (10300740)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 真吾 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 特任准教授 (60353463)
小宮 節郎 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (30178371)
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Keywords | Shn3 / Alg2 / osteoblast |
Research Abstract |
Shn3のノックダウン実験から、その標的遺伝子としてAlg2を同定したので、Shn3の過剰発現にてAlg2が逆に誘導されるか確認し、おおむね誘導が得られた。しかし、Shn3は250kDa以上の巨大な蛋白である事から、そのウエスタンブロットによる蛋白発現確認に難渋している。また、市販の抗体を複数検討したが、マウスShn3を認識する抗体を得ていない。従ってChIP実験を施行出来ていないが、Shn3のノックダウンによってAlg2発現が下がる事は高い再現性を得ており、直接か間接かは不明ながら、Shn3の下流にある事は確信している。 Alg2の機能解析の為に、ST-2細胞由来のcDNAからAlg2をクローニングし、発現ベクターを作製した。またこれを元にアデノウイルスとレンチウイルスも作製した。発現についてはRT-PCR及びウエスタンブロットで確認している。 Alg2がRunx2の機能を抑制する可能性について、Runx2応答レポーターを用いたルシフェラーゼアッサイを施行したところ、Alg2は強力に用量依存的にその活性を抑えた。そのメカニズムについて、Alg2が小胞体におけるN-glycosylationに重要である事から、Runx2の細胞内核局在に与えるAlg2の影響を観たところ、Alg2とのco-transfectionによってRunx2の核局在が阻害され、小胞体に留まる事がうかがえた。 また、N-glycosylationを受ける骨基質蛋白ファミリーであるSIBLINGの一つ、bone sialoprotein (BSP)に与えるAlg2の影響を、ノックダウンで検討するとBSPの分子量が低下し、すなわちAlg2がBSPの糖化に重要で、従ってBSPの機能にも影響を与えている事が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Shn3の下流で、その機能の一端を担う分子Alg2を同定し、その機能解析に着手し、一定のデータを蓄積してきている。N-glycosylationに関わる分子が骨芽細胞分化に役割を有するという報告は今までに無く、全く新しい概念として、学会発表にて提案して来た。
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Strategy for Future Research Activity |
小胞体におけるN-linked glycosylationは、標的蛋白の正しいfoldingを可能にする。一方でこのメカニズムに破綻が生じると小胞体ストレスが起きる事が予想される。近年、適度な弱い小胞体ストレスが、骨芽細胞分化や軟骨細胞分化に不可欠で、重要な正の役割を演じている事が相次いで報告されている。Alg2がN-linked glycosylationにおけるkey moleculeである事を考えると、このmild ER stressに重要な役割を果たしている可能性が高い。今後はこの点にfocusを絞って、Shn3-Alg2経路の骨芽細胞分化に与える影響を検索していきたい。また、マウスin vivoにおけるAlg2の発現分布も解析しておきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
細胞培養関連、RNA抽出/cDNA作成関連、リアルタイムPCR関連、分子生物学関連、抗体、BMPリガンド、遺伝工学関連等の消耗品、マウス購入・維持費等に850,000円、国内外の学会における成果発表に伴う旅費に350,000円、計1,200,000円を使用予定である。当初タイリングアレイ等外注依託解析の必要性を考えてその解析費を"その他"の項目に充てていたが、現時点では優先順位が下がった為、その分を消耗品購入に充てる予定である。
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