2013 Fiscal Year Annual Research Report
ADAM10が制御するNotchシグナル伝達の骨代謝への関与
Project/Area Number |
23592230
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
依田 昌樹 慶應義塾大学, 医学部, 特任助教 (30464994)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀内 圭輔 慶應義塾大学, 医学部, 特任准教授 (30327564)
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Keywords | ADAM10 / Notch / 造血 / shedding / 骨代謝 |
Research Abstract |
本研究の目的は骨代謝調節におけるNotchシグナル伝達の重要性を提示することである。研究期間中Notchシグナルを惹起するために必須な膜型蛋白質分解酵素であるADAM10を骨髄細胞中心に広範に欠損させた遺伝子改変マウスモデル(A10/Mx1マウス)を使用し表現型解析を中心に進めてきた。 これまでの結果からA10/Mx1マウスでは骨髄系細胞の増殖亢進が認められ、この増殖はADAM10-Notchシグナルの破綻により非血液系細胞が産生するG-CSFが主たる原因であることが示された。さらに破骨細胞が骨髄系細胞から分化することから骨リモデリングにおける骨吸収にも影響を及ぼしているのではないかと考え解析を行った結果、A10/Mx1マウスでは破骨細胞前駆細胞数が有意に増加しており、in vitro実験においても骨髄細胞を材料としたときにA10/Mx1マウスにおいて有意に多くの破骨細胞が形成された。また骨形態計測からも骨吸収のパラメーターが有意に上昇していることが示された。本年度はA10/Mx1マウスが骨吸収だけでなく骨形成にも異常がある可能性を検証するために組織学的解析を中心に解析を進めた。病理組織観察および骨形態計測の結果からA10/Mx1マウスでは骨量および骨形成速度が有意に増加していることが明らかとなった。また免疫組織学的手法よりA10/Mx1マウス海綿骨において骨芽細胞の成熟マーカーであるオステオカルシンの陽性細胞が多数観察された。以上の結果からA10/Mx1マウスではADAM10-Notchシグナルの破綻から生じる造血亢進により破骨細胞前駆細胞数が増加し骨吸収が亢進すると同時に骨形成も亢進していることが示された。 今後、骨形成亢進とADAM10-Notchシグナルの直接的な関係について骨芽細胞特異的Adam10欠損マウスモデルを使用したさらなる検討が必要であると考えられた。
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