2013 Fiscal Year Research-status Report
滑膜細胞におけるグルコサミンのターゲット分子の同定とその分子メカニズム
Project/Area Number |
23592232
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
染谷 明正 順天堂大学, 医学部, 准教授 (90167479)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長岡 功 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60164399)
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Keywords | グルコサミン / 変形性関節症 / 滑膜細胞 / 炎症性サイトカイン / 糖鎖修飾 / 転写因子 / 機能性食品 |
Research Abstract |
本研究はグルコサミンによる変形性関節症(OA)の症状緩和作用メカニズムについて、グルコサミンで誘導されるタンパク質の糖鎖付加 [O-N-アセチルグルコサミン(O-GlcNAc)修飾)]に着目し研究を進めている。そしてこれまでに、滑膜細胞においてグルコサミンは炎症惹起に関わる種々の炎症性サイトカイン産生を抑制すること、特にインターロイキン(IL)-8のmRNA発現およびタンパク産生の抑制は、グルコサミンによるSp1のO-GlcNAc修飾の亢進が関与することを報告した。平成25年度は、Sp1の機能がグルコサミンでおこるO-GlcNAc修飾によりどのように調節されているのか、その分子メカニズムを中心に検討した。 滑膜細胞株MH7AをグルコサミンおよびO-GlcNAc修飾阻害剤で処理し、①Sp1のmRNA発現レベル、②Sp1タンパク質の発現レベル、③Sp1のDNA結合能、④Sp1の転写活性に影響を及ぼすcofactorとの結合および、⑤Sp1の細胞内局在を調べた。その結果、グルコサミンはSp1の細胞内局在に影響し核内Sp1量を減少させることがわかった。そしてこの作用はO-GlcNAc修飾阻害剤により消失した。 したがって、グルコサミンは核内のSp1量をO-GlcNAc修飾することで減少させ、IL-8mRNAレベルやIL-8産生を抑制している可能性が推測された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
転写因子Sp1の機能に対するグルコサミンによるO-GlcNAc修飾の影響について、細胞・分子レベルで検討を進めている。研究を進めるには多種類の抗体を用いる必要があるが、その実験条件を確立するのに時間を要した。また研究に使用している抗Sp1抗体の在庫が製造元でなくなり実験の中断を余儀なくされた。そのため遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
Sp1の機能に対するO-GlcNA修飾の影響の解析を滑膜培養細胞を用いたin vitro系で進めるとともに、変形性関節症モデル動物にグルコサミンを投与したときの、関節中のIL-の8産生と滑膜細胞におけるSp1のO-GlcNA修飾との関連をin vivoで解析する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
転写因子Sp1の機能解析で使用している抗Sp1抗体が品切れとなったため実験がストップし研究に遅れが生じた。そのため平成25年度中に購入する試薬等の決定が遅れたため、次年度に購入することになった。 in vitro, in vivoにおいてSp1の機能解析に必要な試薬(抗体、阻害剤、mRNA解析用試薬、siRNA,遺伝子導入試薬等)および消耗器具の購入に使用する予定である。
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