2012 Fiscal Year Research-status Report
自然免疫を制御するToll様受容体シグナルによる骨軟骨破壊機序の解明
Project/Area Number |
23592233
|
Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
中島 新 東邦大学, 医学部, 准教授 (60583995)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 晃一 東邦大学, 医学部, 教授 (30400823)
青木 保親 東邦大学, 医学部, 准教授 (70584001)
|
Keywords | 関節リウマチ |
Research Abstract |
本研究は関節リウマチ(RA)患者の関節手術時に得られる滑膜、関節軟骨、軟骨下骨を用いて、TLRシグナルの活性化による炎症誘発、骨軟骨破壊のメカニズムを解明し、RAに対してTLRを標的にした分子治療へと展開するための研究基盤を確立するのが目的である。 平成23年度の報告書において滑膜組織におけるTLRの免疫組織学的検討を行い、TLR-2,-4の発現を認めたが、TLR-3, -7, -8, -9の明らかな発現は認められなかったことを報告した。これはウェスタンブロットでも同様の結果であった。 平成23年度は滑膜細胞をTLR-2, -4の合成リガンドであるペプチドグリカン(PGN)とリポポリサッカライド(LPS)で刺激し、細胞内シグナル伝達系の活性化をウェスタンブロットにて検討したが、平成24年度はTNF-α, IL-1, IL-1, IL-17, IFN-γなどの炎症性サイトカインで刺激し、培養上清中のMMP3濃度を測定することで、これら主要なサイトカインによる関節破壊制御のメカニズムを検討した。結果としては、滑膜細胞からのMMP3産生はIL-17 (100 ng/mL)単独による刺激では変化がなかったが、IFN-γ (1 ng/mL)との共刺激によって有意に増加した。一方、TNF-α (10 ng/mL)単独刺激ではMMP3産生は有意に増加したが、IFN-γとの共刺激によってその増加はキャンセルされた。IL-1 (10 ng/mL)単独刺激ではMMP3は最も増加したが、TNF-αと異なり、IFN-γとの共刺激によるMMP3増加のキャンセル効果は認められなかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は当初計画していた滑膜細胞におけるTLRシグナルの検討から炎症性サイトカインによる関節破壊のメカニズムに方向を修正した。国内の主要学会で研究成果を定期的に報告しており、第一報の投稿準備にかかれる段階にきている。このため、達成度は「概ね順調に伸展している」と評価した。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究内容に関しては、当初計画していた滑膜細胞のTLRシグナル中心の研究から、炎症性サイトカインによる関節破壊制御のメカニズムへ方向転換し、培養滑膜細胞を用いたin vitroの実験を中心に行う予定である。炎症性サイトカインとTLRシグナルのクロストークについても解析を進めたいと考えている。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度中に行う予定であった滑膜培養細胞を用いた実験は、培養細胞の継代数が多くなってしまったために一部中断を余儀なくされた。このため未使用金が生じたが、平成25年度に行う予定であった細胞実験と合わせて研究を進めていく。よって今年度は細胞培養、遺伝子解析、生化学的解析に必要な試薬、器具を中心に研究費を使用する予定である。一部はデータ解析に必要なソフトウェア、研究成果発表のための学会準備・出張費に使用する予定である。最終年度となるので、論文投稿費にも使用する。
|