2012 Fiscal Year Research-status Report
ストレス誘導性コンディショニングの探索:高炭酸ガス血症の効果
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23592257
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
原 哲也 長崎大学, 大学病院, 講師 (50304952)
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Keywords | 心筋虚血再灌流傷害 / 心筋スタニング / 高炭酸ガス血症 / 虚血耐性 / プレコンディショニング / ポストコンディショニング / 周術期管理 |
Research Abstract |
心筋虚血に対する予防・治療として虚血耐性の増強が注目されており、その形成には先行虚血をはじめとする種々のストレスが関与しているが、急性の高炭酸ガス血症によるストレスもまた心筋の虚血耐性を増強する可能性がある。心筋虚血の前後で急性高炭酸ガス血症によるストレスを与え、そのプレコンディショニング効果およびポストコンディショニング効果が心筋虚血再灌流傷害の一型である気絶心筋の回復に与える影響をブタの急性装置埋め込みモデルを用いて検討した。 実験2 高炭酸ガス血症の心筋保護効果における細胞内機序:mKATPチャネルの関与 実験群は④虚血前高炭酸ガス血症+mKATPチャネル遮断薬群、⑤再灌流時高炭酸ガス血症+mKATPチャネル遮断薬群、⑥虚血前後高炭酸ガス血症+mKATPチャネル遮断薬群、⑩mKATPチャネル遮断薬群の4 群で、それぞれ4頭のブタを用いて検討した。mKATPチャネル遮断薬である5-ヒドロキシデカン酸の5 mg/kgを投与し5分間放置し、高炭酸ガス血症はPaCO2 70 mmHg の二酸化炭素負荷で作製した。心筋虚血は内頚動脈から冠動脈へのバイパス回路を12 分間遮断して作製した。再灌流後90 分間観察した。 ベースライン、虚血前、再灌流直前の動脈圧、心拍数、心拍出量、左前下行枝血流量、左室拡張終期圧、左室内圧上昇速度、体血管抵抗、冠血管抵抗、心筋局所短縮率に、群間で有意差はなかった。再灌流90分の動脈圧、心拍出量、左室内圧上昇速度、心筋局所短縮率は、実験群⑩と比較して実験群④、⑤、⑥で高かく、mKATPチャネル遮断薬は影響しなかった。 急性高炭酸ガス血症の心筋保護効果にmKATPチャネルは関与していないようであるが、個体数が少ないので統計学的な確信は得られていない。。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
高炭酸ガス血症の心筋保護効果は認められ、その機序としてインターロイキン産生の抑制が関与しているようであるが、個体数の問題もあり、mKATPチャネルおよびPI3K/Aktの関与について、まだ検討できていない。次年度には統計学的検討ができるよう個体数を増やし機序の解明を行いたい。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も計画書にしたがって研究を進める。実験群それぞれの不足分を実施した後に、PI3K/Aktの関与を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
計画書のとおり、カテーテル・プローブ、実験用動物、一般試薬等の消耗品の購入、また研究成果を学会発表するための旅費が必要である。
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