2013 Fiscal Year Annual Research Report
ストレス誘導性コンディショニングの探索:高炭酸ガス血症の効果
Project/Area Number |
23592257
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
原 哲也 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (50304952)
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Keywords | 心筋虚血 / コンディショニング / 高二酸化炭素血症 / 気絶心筋 |
Research Abstract |
心筋虚血に対する予防・治療として虚血耐性の増強が注目されており、その形成には先行虚血をはじめとする種々のストレスが関与しているが、急性の高炭酸ガス血症によるストレスもまた心筋の虚血耐性を増強する可能性がある。心筋虚血の前後で急性高炭酸ガス血症によるストレスを与え、そのプレコンディショニング効果およびポストコンディショニング効果が心筋虚血再灌流傷害の一型である気絶心筋の回復に与える影響をブタの急性装置埋め込みモデルを用いて検討した。 実験1:高炭酸ガス血症が気絶心筋の回復に与える影響と実験2:高炭酸ガス血症の心筋保護効果における細胞内機序:mKATP(ミトコンドリアアデノシン三リン酸感受性カリウム)チャネルの関与について追加実験を行った。実験群は①虚血前高炭酸ガス血症群、②再灌流時高炭酸ガス血症群、③虚血前後高炭酸ガス血症群、④虚血前高炭酸ガス血症+mKATPチャネル遮断薬群、⑤再灌流時高炭酸ガス血症+mKATPチャネル遮断薬群、⑥虚血前後高炭酸ガス血症+mKATPチャネル遮断薬群、⑩mKATPチャネル遮断薬群、⑫対照群の8 群で、それぞれ3頭のブタを用いて追加検討した。mKATPチャネル遮断薬である5-ヒドロキシデカン酸の5 mg/kgを投与し5分間放置し、高炭酸ガス血症はPaCO2 70 mmHg の二酸化炭素負荷で作製した。心筋虚血は内頚動脈から冠動脈へのバイパス回路を12 分間遮断して作製した。再灌流後90 分間観察した。急性高炭酸ガス血症のプレコンディショニング効果およびポストコンディショニング効果により気絶心筋の回復が促進される傾向にあったが、統計学的な有意差は得られなかった。また、これらの反応にインターロイキン活性の抑制およびmKATPチャネルの活性化は関与していなかった。
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