2011 Fiscal Year Research-status Report
内在性カンナビノイドの神経終末における産生機構と神経発達への影響の検討
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23592275
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
麻生 知寿 群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40436308)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | カンナビノイド / 神経発達 |
Research Abstract |
内在性カンナビノイドは神経の発達や再生に影響を及ぼすとの報告があり、神経の成長発達や疼痛発生・鎮痛機構を修飾する可能性があるが、その産生機構には不明な点が多い。内在性カンナビノイドである2-アラキドノイルグリセロールの産生酵素の精製を目的として、ラット脳よりDG lipase活性を指標として蛋白の同定を行った。ラット脳のホモジネートの細胞分画、硫安分画を行い、活性成分を分離した。疎水カラム、陰イオン交換カラム、ハイドロキシアパタイトカラム、ゲルろ過カラムを用い、活性のあるフラクションを回収した。活性測定には、放射性脂質である1-steroyl-2-[1-14C]arachidonyl-glycerolを基質として用い、2-[1-14C]arachidonyl-glycerolの産生量を指標とした。カラムクロマトグラフィで分取したDG lipase活性を含むフラクション(複数蛋白の混合液)をトリプシンで消化し、ペプチド断片混合液を作成した。液体クロマトグラフ質量分析装置で解析し、ペプチド断片混合液に含まれる蛋白を同定した。同定された蛋白の中で、基質特異性、推定内部構造、反応性質などが標的酵素を近似する者を候補蛋白として抽出した。該当する蛋白のcDNAを購入しほ乳類培養細胞に遺伝子導入し過剰発現させ、過剰発現させた細胞を回収し破砕後、細胞分画し105,000 × g上清を作成し活性の有無を確認した。また、候補蛋白の抗体を作製した。作製した抗体を用いて、各種クロマトグラフィーで分取した活性成分や過剰発現させてえられた活性成分でウエスタンブロッティングを行い、候補蛋白が含まれているかを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は目的蛋白の同定を目標としていた。ラット脳ホモジネートより各種カラムクロマトグラフィーを用いて活性成分の分離を行い、酵素蛋白を決定することができた。また、候補蛋白に目的とする酵素活性が認められているので、概ね目的蛋白が同定されたといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
目的酵素の局在を神経細胞内で同定する。さらに、神経細胞内での2-アラキドノイルグリセロールおよびその産生酵素の役割、神経発達への影響を評価する。実際には、培養神経細胞突起の伸展、退縮における2-アラキドノイルグリセロール、その産生酵素阻害剤等の影響を調べる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
神経細胞培養に必要な物品(有精卵、ふ卵器、培地、添加物など)、神経成長に影響を与えると想定される物質(2-アラキドノイルグリセロール、DG lipase阻害剤、カンナビノイド受容体アゴニスト、アンタゴニストなど)の購入。
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