2012 Fiscal Year Research-status Report
内在性カンナビノイドの神経終末における産生機構と神経発達への影響の検討
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23592275
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
麻生 知寿 群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40436308)
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Keywords | カンナビノイド / 神経発達 |
Research Abstract |
内在性カンナビノイドは神経の発達や再生に影響を及ぼすとの報告があり、神経の成長発達や疼痛発生・鎮痛機構を修飾する可能性があるが、その産生機構には不明な点が多い。内在性カンナビノイドである2-アラキドノイルグリセロール(2-AG)の産生酵素の精製を目的として、ラット脳よりDG lipase活性を指標として蛋白の同定を行った。ラット脳のホモジネートの細胞分画、硫安分画を行い、活性成分を分離した後、各種カラムクロマトグラフィを用いて活性のあるフラクションの回収を行った。活性画分をトリプシンで消化後、液体クロマトグラフ質量分析装置で解析したところ、基質特異性、推定内部構造、反応性質などが標的酵素を近似する蛋白が同定された。同定された蛋白の遺伝子導入した細胞を作製し、性質、分布、局在について検討した。神経組織に多く分布していることがわかった。 さらに、神経細胞における内在性カンナビノイドの役割を検討するために、培養神経細胞突起の伸展、退縮への2-AGと各種酵素の阻害剤の影響を検討した。2-AGは高濃度では培養神経細胞突起の伸展を阻害することがわかった。また、その作用はDGlipseの阻害剤で減弱することがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
目的蛋白が同定され、その性質、局在が明らかになった。また、培養神経細胞突起の伸展に内在性カンナビノイドが関与していることがわかったが、濃度や阻害剤の種類などを追加して、さらに検討が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
培養神経細胞突起の伸展、退縮への影響を2-AGの濃度を変化させて検討する。また2-AG産生に関わる各種酵素の阻害剤を用いて、その影響を検討する。さらに、カンナビノイド受容体が多く分布する神経細胞において、電気生理学的反応への2-AGとその産生酵素の影響を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
神経細胞培養に必要な物品(有精卵、ふ卵器、培地、添加物など)、神経成長に影響を与えると想定される物質(2-アラキドノイルグリセロール、各種酵素の阻害剤、カンナビノイド受容体アゴニスト、アンタゴニストなど)の購入。ラット、神経組織切片の購入。
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