2013 Fiscal Year Annual Research Report
心筋虚血再灌流障害に対して高用量インスリン投与は有効か
Project/Area Number |
23592280
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
佐藤 宏明 山梨大学, 医学部附属病院, 講師 (20402026)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小口 健史 山梨大学, 医学工学総合研究部, 准教授 (60201399)
松川 隆 山梨大学, 医学工学総合研究部, 教授 (80209519)
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Keywords | Insulin / preconditioning effect / rat heart / ischemia |
Research Abstract |
1. 心筋虚血に対する各種プレコンディショニング作用には、PI3K (phosphatidylinositol 3-kinase)/Akt (protein kinase B) pathway の活性化が関与している。またインスリンは PI3K /Akt pathway を活性化するとされている。今回、高用量インスリンの心筋保護効果の作用機序に、PI3K /Akt シグナル経路の関与について、TNF-α、p-Aktを経時的に測定することにより検討した。 2. 昨年度と同様に、虚血再灌流の前から高容量インスリン(0.5U/L)を投与する群(Pre群)、虚血再灌流後からインスリンを投与する群(Post群)、インスリンを投与しない群(Control群)のLangendorff 法によるラット摘出心臓標本を用いた。Non-flow ischemia(虚血15分・ペーシング222bpm→再灌流20分)による虚血再灌流実験を行い、肺動脈から流出する冠流液(coronary effluent)中のTNF-αを経時的採取に測定、またインスリンのプレコンディショニング作用の有無を確認のために、各々12匹ずつ虚血直前、直後、再灌流終了時に心臓を瞬間凍結し、心筋内p-Akt量をRat-ELISA Kitを用いて測定し、3群間で比較検討した。 3.結果は、心筋内p-Aktは、虚血前においてPre-Ins群で既に上昇しており、再灌流中においても最も高い値を示した。また再灌流時の冠流液中TNF-α濃度は、Control群・Post-Ins群に比較してPre-Ins群で有意に低下した 。 4.今年度の実験により、PI3K /Akt シグナル経路の関与が示唆され、これはインスリンの心筋保護作用を証明する事象の一つであり仮説通りの結果である。前年度までで既に結果が出ている、Pre-Ins群において最も心収縮能が回復したことと統合すると、高用量インスリンの先行投与は、虚血再灌流障害に対して心筋保護的効果を有すると結論づけられる。
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Research Products
(2 results)