2012 Fiscal Year Research-status Report
転写因子Nrf2活性化による急性肺傷害の保護に関する研究
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23592288
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
持田 晋輔 鳥取大学, 医学部附属病院, 助教 (70403433)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松浦 達也 鳥取大学, 医学部, 教授 (00199746)
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Keywords | Nrf2 / 急性肺傷害 / ポリフェノール / エンドトキシン / マクロファージ |
Research Abstract |
手術等の侵襲的処置を受ける患者にとって、術後の敗血症に起因する臓器障害は予後に大きな影響を及ぼすとされており、これらの予防は周術期管理学上の重要な課題とされている。本研究は、転写レベルでの予防(治療)法を開発することを目的に、主に食品機能性成分により、数多くの抗酸化タンパク質や抗炎症因子を誘導することが知られている転写因子Nrf2を誘導し、内在性の抗酸化および抗炎症システムを同時に活性化させることにより、リポポリサッカライド(LPS)によって惹起される急性肺傷害を予防することが可能かどうかを検討する研究である。昨年度に引き続き、ポリフェノールやキノンのLPSによるRAWマウスマクロファージ細胞活性化に対する抑制効果を一酸化窒素(NO)産生抑制効果により調べたところ、ヒドロキノン(HQ)が最も抑制効果があることが明らかになった。HQ(0, 1.25, 2.5, 5 μM)をRAW細胞に添加24時間後に培地を交換し、1 μg/ml LPSを添加し、さらに24時間保温後、培養上清中のNO量を測定した。HQはLPS単独添加により増加したNO量を用量依存性に16, 21, 23%抑制した。このときの細胞生存率は2.5 μM HQまでは変化が見られなかったが、5 μM HQではHQの細胞毒性により約10%低下した。Nrf2によって発現が増加するヘムオキシゲナーゼ-1 (HO-1)をウエスタンブロッティングで測定したところ、1.25 μMおよび2.5 μM HQの24時間処理により、未処理細胞に対して1.6倍のHO-1発現増強が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ポリフェノールやキノンを検討した結果、CurucuminとヒドロキノンがNrf2を誘導することが明らかになったが、高濃度において細胞毒性が出現したため、in vivoでの使用を考えた場合に問題があり、ビタミンEなどの安全性が確立されている他の食品成分を用いてさらに検討する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
ポリフェノール、キノンに高濃度での細胞毒性が認められたため、毒性の少ないポリフェノールに加え、ビタミンEやコエンザイムQ等の安全性が確立している食品成分の使用を検討する。申請者らの確立したマウスLPS急性肺傷害モデルを用いて、食品成分がNrf2を活性化することにより、急性肺傷害を保護できるかを個体レベルで検証する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(4 results)