2013 Fiscal Year Annual Research Report
新規抗酸化物質ETS-GSを用いた敗血症時の副腎不全に対する新しいアプローチ
Project/Area Number |
23592300
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
松本 重清 大分大学, 医学部, 准教授 (90274761)
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Keywords | 敗血症 / 酸化ストレス / ビタミンC / 電子スピン共鳴 / 副腎不全 / ETS-GS |
Research Abstract |
我々は、敗血症時に副腎不全が生じる機序は過剰な酸化ストレスであると推測した。 これまでに当講座では、電子スピン共鳴(ESR)装置を用いて、ヒトの血清ビタミンC(VC)濃度をリアルタイムで測定する方法を確立し、抗酸化物質のVCがより減少しているほど、より過剰な酸化ストレスが生じている、すなわち、VCの減少の程度により、酸化ストレスの程度を評価できることを報告してきた。 平成23、24年度の研究では、ESR装置により、ヒトと同様に、ラットLPS敗血症モデルにおいても、VCのリアルタイム評価が可能であることを証明した。また、ラットは酸化ストレスに対してVC合成を増加させるが、高用量LPSを投与した場合はVCは著減した。一方、低用量LPSではVC濃度は6時間後にピークに達し、以後、高値を持続した。すなわち、軽度酸化ストレスではVC合成が増加し、逆にかなり過剰な酸化ストレスが生じるとVCは減少することがわかった。 平成25年度の研究では、低用量LPSラットでは、VCは6時間後をピークに高値を遷延し、これはIL-6の変化と同様であった。低用量LPSラットにETS-GSを投与すると、VCのピーク値やIL-6が抑制される傾向にあった。また高用量では、VCは24時間後に著減し、IL-6は著増した。高用量ラットにETS-GSを投与すると、24時間後のVCの減少やIL-6の増加が抑制される傾向にあった。しかし、ノルアドレナリンやエピネフリン、コルチゾルの変化にはばらつきが認められ、ETS-GS投与の有無で有意差はなかった。よって、ETS-GSは敗血症時の酸化ストレスや炎症を抑制する可能性はあるが、副腎機能に与える影響は確認できなかった。 今後は、ヒトと同様に、VCを合成できない、SMP30ノックアウトマウスを用いて、同様の研究を継続する予定である。
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