2011 Fiscal Year Research-status Report
mTORを介した末梢神経プロテオームの変化による疼痛発症のメカニズム解析
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23592306
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
天谷 文昌 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), その他 (60347466)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐和 貞治 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10206013)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | mTOR / 一次知覚神経 / 痛覚過敏 |
Research Abstract |
(一次知覚神経におけるmTORの発現解析)一次知覚神経におけるmTORの発現分布を明らかにするため、免疫組織化学法を用いて後根神経節におけるmTOR陽性細胞を顕微鏡下に観察した。後根神経節においてmTORは一次知覚神経の細胞体に発現が認められた。mTOR陽性細胞は一次知覚神経の30%程度に発現しており、その多くは小型の細胞体を有するニューロンであった。無髄線維の特異的抗体であるペリフェリンとの二重染色を行うと、mTOR陽性細胞はすべてペリフェリン陽性細胞であった。このことからmTORは一次知覚神経の中でも特に無髄Cファイバーニューロンに選択的に存在するものと考えられた。(疼痛時のmTORの発現と機能変化の解析)次に、ラットに疼痛モデルを作成し、一次知覚神経におけるmTORの発現を形態学的に同定、発現分布にどのような変化が生じるのか解析した。疼痛モデルには、急性痛モデルとして足底切開による術後痛モデル、慢性痛モデルとしてL5脊髄神経結紮モデル(SNLモデル)を用いた。これら疼痛モデルを施したラットから後根神経節を摘出し、mTOR抗体による免疫組織化学を行い、未処置ラットの後根神経節との間でmTOR陽性細胞に違いがあるかどうかを検討した。その結果、術後痛モデル、SNLモデルともにmTOR陽性細胞数は増加することが明らかになった。術後痛モデルでは、処置後2日以降においてmTOR陽性細胞は増加し、処置後7日で処置前と同程度の発現量に減少した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理由)免疫組織化学法によるmTORの分布ならびに発現変化の解析はほぼ終了した。当初予測した通り、mTORは一次知覚神経に発現しており、疼痛モデルにおいてその発現量は増加していた。
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Strategy for Future Research Activity |
mTOR阻害剤を用いて、疼痛モデルにおける痛覚過敏が減弱するか否かを検討する。また、mTORの活性化がIGFのシグナルによって生じていることを立証するため、IGFを投与した一次知覚神経においてmTORの発現が増加するか否かを検討する。研究計画に大幅な変更はない。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
mTOR阻害剤を投与して痛覚過敏の有無を解析するために、mTOR阻害剤の購入と解析用のコンピューター、ソフトウェアを購入する。また、IGFを投与してmTORの発現を確認するためにIGF関連試薬と免疫組織化学用試薬一式を購入する。顕微鏡関連の消耗品および行動解析機器も一部更新する。
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Research Products
(3 results)