2013 Fiscal Year Research-status Report
mTORを介した末梢神経プロテオームの変化による疼痛発症のメカニズム解析
Project/Area Number |
23592306
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
天谷 文昌 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60347466)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐和 貞治 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10206013)
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Keywords | mTOR / 痛覚過敏 / 一次知覚神経 / IGF / VGLUT2 |
Research Abstract |
本研究はタンパク合成を調節するmTORが痛覚過敏の成立に果たす役割を解明することを目的としている。 すでに我々は、mTORが一次知覚神経に発現し、その発現量が急性痛モデルの代表である術後痛モデルにおいて増加すること、mTOR阻害剤ラパマイシンガ術後痛モデルにおける痛覚過敏を抑制する事をしめした。また、インスリン様成長因子IGFの足底注入がmTORの発現を増加させ、術後痛モデルにIGF阻害剤を投与すると痛覚過敏の減弱とともにmTORの発現が抑制される現象を確認している。 本年度にはmTORが調節する標的タンパクとしてvesicular glutamate transporter (VGLUT)2を同定した。VGLUT2は術後痛モデルやIGF注入モデルにおいて発現が増加し、術後痛モデルにラパマイシンを投与することでVGLUT2の発現増加は抑制された。VGLUT2は熱痛覚過敏を成立させる因子であることが示されており、IGF/mTORの活性化がVGLUT2の発現増加を通じて痛覚過敏を成立させるメカニズムが明らかとされた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
mTORが痛覚過敏を成立させていることは形態学的・行動学的研究によりほぼ確立された。さらに、mTORが痛覚過敏を成立させるメカニズムを明らかにするため、VGLUT2の発現変化とmTORとの関連を調査し、一次知覚神経におけるVGLUT2の発現がIGF/mTORにより調節されていることを証明することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
VGLUT2の発現変化が真に痛覚過敏の成立に関与するか否かを示すため、si-RNAを用いた遺伝子干渉法によりVGLUT2の発現を抑制し、術後痛モデルにおける痛覚過敏が抑制されるか否かを検討する。また、IGF以外にmTORを活性化させる因子を検索するため、神経栄養因子NGFを注入したラットにおいてmTORが活性化するか否か検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
VGLUTに対するsi-RNAを設計し、in vivoに投与する実験計画を立案しているが、in vivoでの投与効率が十分ではなく、条件検討に時間を要している。また、NGF注入後のmTOR発現量について検討を開始している。 si-RNAの作成とラットへの投与。投与したラットは行動解析を行いつつDRGを採取しVGLUTの発現量を確認する。また、NGFを準備しラットに投与、行動解析を行いつつDRGを採取しmTORの発現を確認する。
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