2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23592313
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Research Institution | Tokyo University of Technology |
Principal Investigator |
苗村 潔 東京工科大学, 医療保健学部, 准教授 (90302752)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古屋 耕平 岐阜大学, 工学部, 助教 (40580056)
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Keywords | 黄色靭帯 / 針 / 有限要素解析 / ブタ / 天然ゴム |
Research Abstract |
当初の計画では黄色靭帯を冷却することで,針穿刺時の黄色靭帯の伸びが抑えられるかを検証する予定であった.しかし,前年度の結果から冷凍しなければ伸びの抑制効果が得られず,実用性に乏しいことが判明した.そこで,他の方法を検討し,穿刺時に黄色靭帯に張力を与え伸びを抑える方法が,黄色靭帯を冷却する方法に比べて必要な機器が少なく,実用上有用と考え,今年度は張力を与え伸びを抑える方法を主に検討した. 研究代表者の苗村は,ブタ脊椎を用いた実験をおこなった.開創器を用いて黄色靭帯へ張力を加えた.実験の結果,張力を加えることで針穿刺時の黄色靭帯の伸びが抑えられることと,与える張力が大きいほど,伸びの抑制効果が大きいことがわかった.また,解析に用いるために黄色靭帯の引張試験を実施した.得られたデータのばらつきが大きく,数値解析を行うためには,再現性の高い実験系の構築が必要であることが明らかとなった. 研究分担者の古屋は,黄色靭帯と同様に大変形を伴い破断する非線形材料の天然ゴムに着目し,天然ゴムに張力を与えた際の荷重-ひずみ線図を非線形有限要素法で解析した.モデルはゴムを非圧縮性Mooney-Rivlin体としてモデル化した.長さ30mmの試験片に,長さ方向に5mmの伸びを生じさせる張力を与えることで,針に見立てた棒がゴムを貫通するまでに要する面直方向の伸びが10%程度低減できると予測した.実験で,針に見立てた棒をゴムに突き刺したときの変位-棒の反力曲線を計測した.その結果,張力を与えることで貫通するまでの伸びが24.1mmから21.7mmになり10%低減された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画の冷却だけでは,黄色靭帯の伸び変形を抑制できないことは前年度に明らかとなっていたが,食肉処理場からブタ試料の温度管理が困難であることと,黄色靭帯を冷凍すると臨床上の実用性が低下することから他の方法を検討した. 硬膜外穿刺の際には,患者に背中を丸めてもらうことに注目し,黄色靭帯に張力を与えられれば,針穿刺時の伸び変形を抑制できると予想し,実験と解析を進めた.その結果,張力をかけることの有用性が示されたので,計画の見直しはあったにしても臨床上有益な知見を得られたので,おおむね順調に進展と判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
黄色靭帯の引張試験の再現性を高め,有限要素解析との比較を行う.具体的には,試験片の切り出しに炭酸ガスレーザ(所属施設の現有設備)などを用い,引張試験中に試料の温度が一定となるように実験装置を改良する.有限要素解析では,引張試験の結果の再現および天然ゴムについて温度の影響を解析する.さらに,針穿刺による靭帯の破壊についてモデルを立てて検証する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究代表者の苗村は,試験片作製用治具および温度制御機能を引張試験器に備えるための費用に17万円程度,昨年度までの成果発表や関連分野の情報収集のための旅費に45万円,国際学会参加費や論文投稿料に20万円を計画している. 研究分担者の古屋は,天然ゴムの材料試験費用と試験片作成費用に10万円,非線形有限要素法の解析プログラムの年間保守料として15万円を計画している.
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Research Products
(4 results)