2012 Fiscal Year Research-status Report
新しい神経障害性疼痛治療薬としてのカリウムチャネル開口薬の行動薬理学的研究
Project/Area Number |
23592316
|
Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
原 幸治 産業医科大学, 医学部, 講師 (20331001)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原西 保典 産業医科大学, 医学部, 助教 (90449942)
片岡 和史 産業医科大学, 医学部, 助教 (70441839)
中村 元洋 産業医科大学, 医学部, 助教 (30461578)
佐多 竹良 産業医科大学, 医学部, 教授 (60128030)
|
Keywords | 神経障害性疼痛 / 行動薬理学 / 髄腔内投与 / 脳室内投与 / 鎮痛薬 / Kチャネル |
Research Abstract |
神経障害性疼痛には有効な治療薬は無く新しい治療薬の開発が望まれている。Kチャネルは中枢神経系において抑制性に作用し分布特異性をもつ多種類のサブタイプが存在するため開口薬には侵害受容伝達を選択的に抑制する理想的な薬物のターゲットとして期待できる。本年度は神経障害痛に対する効果を検討した。Bennett and Xieの方法により、雄Sprague-Dawley(SD)ラットを麻酔下に大腿骨上の皮膚を切開し片側の坐骨神経を4.0-silk糸で4箇所緩く結紮しCCIラットを作製した。処置1週間後、患肢に機械的痛覚過敏、熱的痛覚過敏、冷的痛覚過敏が発現した。髄腔内投与を行うためCCIラットのクモ膜下腔に大槽からカテーテルを尾側に挿入した。脊髄作用の検討にはKチャネル開口薬のBL1249(K2P)、NS1643・DIDS・L-364373(以上KV)、NS1619(BK)、クロルゾキサゾン・ゾキサゾラミン(以上IK)、CyPPA・SKA31・NS309(以上SK1-3)を用いた。熱的痛覚過敏(plantar test)、機械的痛覚過敏(von Frey test)、冷的痛覚過敏(cold plate test)を行った。薬物は1,10,100mg/ml DMSO溶液を10microL注入した。髄腔内投与により全ての薬物が熱的、機械的、冷的痛覚過敏を増強させた。これらの結果からKチャネル開口薬が前年度調べた急性痛に対してだけでなく、神経障害痛に対しても抗侵害作用ではなく痛覚過敏を引き起こすことが示唆された。痛覚過敏を増強させる機序については現時点では明らかでないが、侵害受容伝達に対する抑制性神経系の脱抑制が重要な機序である可能性がある。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
神経障害性疼痛モデルの作成やその他の処置および疼痛行動測定など、実験の遂行は順調であった。
|
Strategy for Future Research Activity |
所属研究機関の環境面や研究者の技術面で研究計画を進めるうえで問題はなく、計画の変更は行わない。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
脳室カテーテルを挿入し、Kチャネル開口薬の脳室内投与の作用を検討する。Bennett and Xieの方法により、雄Sprague-Dawleyラットをペントバルビタール麻酔下に大腿骨上の皮膚を切開し片側の坐骨神経を4.0-silk糸で4箇所緩く結紮すると患肢に機械的痛覚過敏、熱的痛覚過敏、冷的痛覚過敏が発現する。各種Kチャネル開口薬を脳室内に単回投与し、CCIモデルにおける抗侵害作用を調べるため以下のテストを行う。①Plantar test (熱的痛覚過敏試験)②Cold plate test (冷的痛覚過敏試験)③electronic von Frey test (機械的痛覚過敏試験)鎮痛作用を認めた薬物については④rotarod testを行う。さらに脳室内投与で鎮痛作用が見られた薬物については抗不安作用・抗うつ作用と学習・記憶能力への影響を調べるため⑤elevated plus maze test⑥open field test⑦Y maze testを併せて行う。この場合には、ビデオ行動解析システム一式を新たに購入する。試薬を除く全ての消耗品を共同で購入したため予定より費用が掛からなかった。生じた繰越金によりビデオ行動解析システム一式の購入を予定している。
|
Research Products
(2 results)