2013 Fiscal Year Annual Research Report
塩酸デクスメデトミジンが自律神経性の循環調節に及ぼす中枢及び末梢作用の解明
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23592319
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
川田 徹 独立行政法人国立循環器病研究センター, 研究所, 室長 (30243752)
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Keywords | 高血圧 / 薬理学 / 生理学 / メデトミジン / 迷走神経 / システム生理学 / 心不全 |
Research Abstract |
塩酸デクスメデトミジンは中枢性のα2アドレナリン受容体刺激薬で、呼吸抑制が少ないなどの利点から、集中治療における鎮静薬として利用されるが、これまでに知られている中枢性のα2刺激作用だけでは説明できない重篤な徐脈や洞停止をきたす場合がある。そのような副作用の予防や、副作用発生時の適切な対応には、病態の正確な理解が必要である。そこで、本研究では自律神経活動や血行動態を直接記録できる動物実験を用いて、デクスメデトミジンまたはラセミ体であるメデトミジンが自律神経による心循環調節に与える影響を調べ、副作用の予防や対策に役立てることを目的とした。 心臓微量透析法によって心臓に放出されるアセチルコリン量を生体内で測定することにより、メデトミジンが中枢性に迷走神経を賦活化することを実証した。自然発症高血圧ラットにおいてはメデトミジンによる迷走神経賦活化作用が低下していた。また、正常血圧ラットにおいても心臓からの交感神経求心路を電気刺激すると、メデトミジンによる迷走神経賦活化が抑制されることを示し、心血管疾患における迷走神経活動の低下には、心臓からの交感神経求心路が重要な役割を果たしていることを明らかにした。 迷走神経刺激は心不全に対する新たな治療法として着目されており、メデトミジンによる迷走神経賦活化を治療目的で使える可能性がある。メデトミジンの静脈投与によって心臓においてはアセチルコリン濃度が上昇するものの、胃においては逆に減少することを示した。迷走神経活動の亢進は催潰瘍的にはたらくが、メデトミジンによる迷走神経賦活化にはそのような副作用が少ないことが示唆された。最終年度にはα2アドレナリン受容体拮抗薬であるアチパメゾールの投与によって、心臓および胃に対するメデトミジンの作用が遮断されることを確認した。 以上の研究結果はピアレビューのある英文誌に発表した。
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Research Products
(20 results)