2012 Fiscal Year Research-status Report
ダイオキシン類介在性アンドロゲン受容体分解による治療抵抗性前立腺癌の治療法開発
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23592321
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
丸山 覚 北海道大学, 大学病院, 助教 (80507591)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠原 信雄 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (90250422)
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Keywords | 前立腺癌 / ダイオキシン受容体 / 芳香族炭化水素受容体 / アンドロゲン受容体 / Indirubin |
Research Abstract |
アンドロゲン受容体の転写活性:アンドロゲン受容体(AR)およびダイオキシン受容体(AhR)を発現している前立腺癌細胞株 (LNCaP) にMMTV-Lucを発現させ、ルシフェラーゼアッセイをおこなった。各条件の細胞株のARおよびAhRの発現量(mRNA、タンパク)をそれぞれ定量的Real-time PCR法およびウエスタンブロット法で確認した。以上を、同様にアンドロゲンおよび各種ダイオキシン類(Indirubin, 3MC)の有無、また添加量を変えて検討を行った。結果としてダイオキシン類を投与した場合、用量依存的にアンドロゲン受容体の転写活性が低下することを確認した。これはプロテアソーム阻害剤により抑制されたことよりダイオキシン類のアンドロゲン受容体分解が関与していることが示唆された。現在はLNCaP以外の前立腺癌細胞株でも同様の試験を行っている。 前立腺癌細胞株増殖:ARおよびAhR発現している前立腺癌細胞株 (LNCaP) を培養し、細胞数計測とMTTアッセイをおこなった。結果としてアンドロゲンの有無にかかわらず、ダイオキシン類添加により、用量依存的にホルモン依存性前立腺癌細胞の増殖が抑制された。現在はLNCaP以外の前立腺癌細胞株でも同様の試験を行っている。 ダイオキシン類のマウスへの投与(毒性の確認、致死量の推定):上記ダイオキシン類をいくつかの投与量にふってマウスに経口および経腹膜投与をおこない連日観察を施行中である。 前立腺癌におけるダイオキシン受容体の発現:パラフィン固定した前立腺手術組織検体でAhR抗体を用いて免疫組織染色を行いタンパク質レベルでの発現量をみる準備をしている。今後、前立腺癌の異型度や予後などの臨床的パラメーター(臨床病期、PSA値、組織分化度(グリーソンスコア)、予後(PSA再発))との相関の有無を検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね当初の予定通りに進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
「前立腺癌細胞増殖、コロニー形成能、アポトーシス誘導能」 上記AhR発現を増加もしくは低下させた前立腺癌細胞株をマルチウエルプレートにて培養し、細胞数の計測(細胞増殖曲線の作成)とMTTアッセイを行う。また、60mm培養皿上で0.4%アガロース軟寒天培地にて3週間培養し、直径0.1mm以上の形成コロニーを測定する。細胞死を定量的に解析するためにTUNEL 染色を行い、陽性細胞数を測定する。アポトーシス経路を特定するために、Caspaseの活性測定、同時にBcl-2, Caspase, (p-)IkBα, (p-)Akt, MAPK, STAT3といったアポトーシスおよびARシグナルに関連するkey moleculeの発現をウエスタンブロット法でチェックする。以上を、DHTおよび各種ダイオキシン類の有無、また添加量を変えて検討を行う。 「免疫不全マウス造腫瘍性」 上記AhR発現を増加もしくは低下させた前立腺癌細胞株をSCIDマウス(雄)の皮下に移植(xenograft)し、その腫瘍径を経時的に測定する。10週後に犠牲死させ、転移の有無、あればその状態を確認する。除睾術による去勢状態としたマウスでの比較検討も同時に行う。各群n=5-10程度とする。同様にDHTおよび各種ダイオキシン類の有無、また投与量を変えた検討を行う。 「前立腺癌におけるダイオキシン受容体の発現」 パラフィン固定した前立腺手術組織検体でAhR抗体を用いて免疫組織染色を行いタンパク質レベルでの発現量をみる。また凍結組織検体を用いて定量的Real-time PCR法にてAhRのmRNA量を調べる。その上で、前立腺癌の異型度や予後などの臨床的パラメーター(臨床病期、PSA値、組織分化度(グリーソンスコア)、予後(PSA再発))との相関の有無を確認する。これは「医学研究実習」の一環として学生とともに行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
薬品(遺伝子導入用薬品、PCR用試薬、ダイオキシン類各種、プロテアソーム阻害薬、ジヒドロテストステロン、一般溶剤、一般試薬等)購入等に使用予定
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