2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23592323
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
河合 弘二 筑波大学, 医学医療系, 講師 (90272195)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮崎 淳 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (10550246)
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Keywords | リポソーム / ミコール酸 / 発光タンパク質 / BCG-CWS |
Research Abstract |
これまでの基礎研究からBCG による免疫反応は、菌の細胞壁の特徴的な物質によって惹起されることが知られている。BCG 菌体から抽出した細胞壁はcell wall skelton(BCGCWS)、Mycolic acid、Lipomannan、lipoarabinomannan といった多数のワックス様脂質からなり、BCG が樹状細胞に貪食されても長期間細胞質内に生存し、宿主の免疫を刺激し続けるといったBCG 特有の性質に寄与している。我々が開発中の新規BCG製剤として、複数候補の中からより免疫効果が得られると考えられる成分を抽出しリポソーム化した。これをC3HマウスにMBT-2細胞と混合接種すると、MBT-2腫瘍の増殖を抑制され、同製剤の膀胱腫瘍皮下摂取モデルでの抗腫瘍効果が確認された。そこで、全身投与に向けて製剤の抗腫瘍効果を検討することとした。そのためにまず、肺転移モデルでの検討を考えモデルの作成を行った。発光タンパク質を産生するプラスミドをトランスフェクションしたMBT-2細胞を作成し、in vivoでその発光を確認した。これをC3Hマウスに皮下注した。皮下腫瘍は肉眼的に腫瘍を確認できない時点からもIn vivo imaging systemで検出可能であった。これにより腫瘍発生初期の経時的変化が確認され、より早期からの介入が可能となった。同細胞をマウスに尾静注したところ、投与後1週間の時点でIn vivo imaging systemで肺転移の発光を確認した。それは経時的に増強していった。これにより、転移巣への抗がん剤の直接効果や開発中の製剤のリモート効果をマウスを屠殺することなく判定できると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
製剤の安定化 当初はBCG0CWS製剤をリポソーム化する予定であったが、より純化し簡便で製剤化の可能性が高くなると思われた、ミコール酸をBCG細胞莢膜から抽出しこれをリポソーム化することに成功した。粒子径も小さく、安定的に製剤の調整が可能であり、この製剤を第一候補品として、商品化を目指す予定である。まず製剤としてMAの基準品を決定した。 これまでの基礎研究で用いてきたMAは菌体から直接抽出していたため、MA以外の成分の混入が考えられた。前段階のMA製剤と、新たに抽出したMAとをMALDI/TOFMS解析をすると、phenolic glycolipid (PGL)spotの部分に差がみられた。もともとPGLについては、強いサイトカイン誘導の活性が報告されている。Toll-like receptor2のリガンドとして働いて、TNFαなどのサイトカインを誘導する。このことからも、PGLが抗腫瘍効果に影響を与える可能性があることが示唆された。そのため、これまでの基礎研究で得られた、マウス皮下接種モデルでの抗腫瘍効果で強い効果が得られたのも、このPGLが寄与している可能性も考える必要が出てきた。そこで今後PGL分画も抽出し、抗腫瘍効果があるか検討する予定である。 静脈投与による肺転移治療モデル作成も概ね完了している。したがって、次年度からは転移巣へのリモート効果の検討を始められると思われる。同じプラスミドを腎がん細胞株(RENCA)にもトランスフェクションし、in vivoでその発光を確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
1)腫瘍内ミコール酸リポソーム注入による転移巣へのリモート効果の検討 先ず皮下接種により腫瘍を形成させた後、尾静脈より腫瘍細胞を静注する。静注3 日後より皮下腫瘍にミコール酸リポソームを直接投与する。免疫学的パラメーターとして血清中のTh1/Th2 サイトカインを測定する。肺転移数及び生存期間を指標として腫瘍内ミコール酸リポソーム 注入による転移巣へのリモート効果の有無を明らかにする。 2)ミコール酸リポソーム と腫瘍細胞の混合接種による転移巣へのリモート効果の検討 尾静脈より腫瘍細胞を静注する。静注3 日後よりミコール酸リポソーム と腫瘍細胞を混合接種し、血清中のTh1/Th2 サイトカインを測定するとともに、今回得られた肺転移モデルを用いて定量および定性的に肺転移数及び生存期間を指標として転移巣へのリモート効果の有無を明らかにする。 3)さらに、今後の抗腫瘍効果の検討には、ラットを用いた膀胱化学発癌モデル、あるいは膀胱癌細胞株を膀胱内に注入した正所性膀胱癌モデルを作成し、実際のヒトの投与方法に近い膀胱内注入療法で抗腫瘍効果を検討していく。ラットを用いた膀胱化学発癌モデルは、すでに確立した化学発癌モデルの実験系を用いて、リポソーム-MAを実際の臨床に即した投与方法である膀胱内注入療法で抗腫瘍効果を検討することを目的とする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当しない
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Research Products
(2 results)