2011 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロRNA発現制御による新規腎細胞癌治療の開発
Project/Area Number |
23592340
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
川上 一盛 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (00404517)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
榎田 英樹 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 講師 (80347103)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2012-03-31
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Keywords | マイクロRNA / 腎細胞癌 / 癌抑制遺伝子 |
Research Abstract |
【目的】腎細胞癌におけるmicroRNA (miRNA)の発現解析に基づき、腎細胞癌の癌抑制機能を有するmiRNAを基点とした、miRNA-mRNAの分子ネットワークを網羅的に解析し、今後の新規治療法の開発の礎となるデータを拾得する研究である。【対象と方法】腎細胞癌に共通して癌抑制遺伝子とて機能するmiRNAsを腎細胞癌由来細胞株(A498、786-O)に導入し、その後RNAを抽出し、miRNAの制御を受けて発現変動するタンパクコード遺伝子をマイクロアレイによる遺伝子発現解析で探索することである。【結果】我々は腎細胞癌で発現が低下し、過去の報告で上皮葉間転換epithelial to mesenchymal transition (EMT)に関与しているとされていたmiR-200 family (miR-200a, miR-200b, miR-200c, miR-429 and miR-141)にまず注目した。miR-200 familyの標的遺伝子であるzinc-finger E-box binding homeobox (ZEB1)とZEB2の発現はmiR-200 familyのトランスフェクタントにおいて顕著に低下していた。腎細胞癌細胞株へのmiR-200 familyのトランスフェクションにより、腎細胞癌細胞の増殖能・浸潤能・遊走能が有意に低下し、癌抑制的作用が明らかになった。また機能解析実験においてはこれらの標的遺伝子のノックダウンにより腎細胞癌細胞の形態的変化が観察され、さらに増殖能・浸潤能・遊走能が有意に低下することが明らかとなった。我々は別のmiR-1285にも注目し、これも顕著な癌抑制的作用を有し、その標的遺伝子は癌遺伝子的作用を有することが示唆された。【結論】腎細胞癌における複数の新たな癌抑制機序が明らかになった。
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