2012 Fiscal Year Research-status Report
癌抑制因子ATBF1の細胞内局在をバイオマーカーとする膀胱癌悪性度診断法の開発
Project/Area Number |
23592343
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
川口 誠 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (50204699)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三浦 裕 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (90285198)
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Keywords | ATBF1 |
Research Abstract |
1,選択した膀胱癌症例144例検体すべてにATBF1抗体を使用した免疫染色(川口担当) :ポリクロナール抗ATBF1抗体、ペプチド抗体19箇所が完成した。ラットの E14の脳での免疫染色結果から、膀胱癌で使用可能な抗体を選択した。さらにD1-120を加えて、7 種類のATBF1で染色することに決定した。また抗p21、p53に対するモノクローナル抗体も同時に使用して、すべての症例(144症例)の免疫組織学的染色を行った。 2,豚正常膀胱上皮を使用したウエスタンブロット(三浦担当):豚正常上皮から蛋白を抽出し、核・細胞質分画に分けた。新しいペプチド抗体、19種類、D1-120を使用した、ウエスタンブロットを施行。 3,ATBF1の染色性と癌の悪性度評価(川口担当):免疫組織学的に ATBF1染色を施行後、膀胱尿路上皮癌を観察した。各症例の最初の生検腫瘍組織の最も深達度の深い部分、最も細胞異型度の高い部分の ATBF1の発現を検索。同時にp21発現の有無、p53 異常集積の有無をスコア化した。 4,カルテ情報が完備され10年間の予後検索が出来る117例の予後解析(川口担当):ATBF1、p21、p53 スコアと全生存率、膀胱内再発の統計的解析を行う。現在実施中である。 5,3種類の膀胱癌培養細胞を使用したウエスタンブロット・増殖能の検査(三浦担当):ヒト膀胱癌由来の培養細胞3株、RT4, T24, HT1376を使用して、3種類の細胞のウエスタンブロット、増殖能の検索を実施中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
膀胱癌において、かなりの頻度でATBF1蛋白の分断化を観察する事が出来ており、その分断化の有無で、癌の悪性度が予想出来る事、生存率・膀胱癌再発のバイオマーカーとなる可能性を見出しつつある。今年度中の論文作成を目指しており、全体は概ね順調に進展していると判断とした。
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Strategy for Future Research Activity |
1,3種類の膀胱癌培養細胞を使用し、ATBF1遺伝子の変異を検討(三浦担当):ヒト膀胱癌由来の培養細胞3株、RT4, T24, HT1376を使用して、前立腺癌で検討されたごとく各種のプローブを使用し(Frequent somatic mutations of the transcription factor ATBF1 in human prostate cancer. Sun X, Miura Y et al, Nat Genet. 2005.にすべての材料の記載あり)、悪性度の異なる膀胱癌のATBF1遺伝子の変異の検索を行う。細胞培養後、mRNAを採取、RT-PCR後に検索を行う。これにより変異の位置と、ATBF1蛋白の局在との関連を探り、膀胱癌での核細胞質の局在変化がなぜ起こり、それがどのように悪性度を規定するのかという分子生物学的な疑問を解く。 2,有用なpolyclonal抗体の選択後、ニワトリmonoclonal抗体化(三浦担当(株)MBLと協同):本プロジェクトの最も重要な部分で、世界中一般的に容易に使用出来る病理試薬化、さらには膀胱癌悪性度診断キット化が最終目標である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
DNA採取キット、プライマー、プラスミド、組織切片作製用品、細胞培養用試薬など、ATBF1強制発現実験用試薬 免疫組織化学キット、試薬、抗体、蛋白精製用品、カラム、実験動物購入費用、および旅費に、使用予定である。
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Research Products
(1 results)