2011 Fiscal Year Research-status Report
浸潤性膀胱がんの発生に関わる遺伝子UQCRBの同定とその機能解析
Project/Area Number |
23592344
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
秋田 英俊 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (10381782)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸澤 啓一 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40264733)
橋本 良博 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (40244561)
郡 健二郎 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30122047)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 膀胱がん / UQCRB / copy number aberration |
Research Abstract |
0.05%のBHBNの自由飲水により浸潤性膀胱がんマウスを作成した。投与開始後4週から26週にかけて、過形成、異形成、上皮内がん、浸潤がんと進行していくことを確認した。その膀胱がんマウスの発がん過程(投与後4,12,20,26週)のそれぞれにおいて抗UQCRB抗体を用いて免疫染色を行うことでタンパク発現についての経時的な変化を比較検討した。投与12週後の高度異形成でのみ、膀胱粘膜基底膜細胞に強く染色されていた。またPinpointTM Slide DNA Isolation Systemを用いて、投与4,12,26週後の粘膜、腫瘍それぞれよりgenomic DNAを抽出し、Real-timePCRを行うことでUqcrbのcopy numberの経時的変化を解析した。copy numberは高度異形成に相当する投与12週後で増加のピークをむかえ、浸潤癌に相当する26週後では低下していく傾向を認めた。また当研究室にて保管してあるヒト膀胱全摘標本を用いてcopy numberおよびタンパク発現について検討した。抗UQCRB抗体を用いての免疫染色では表在性の腫瘍部のほうが浸潤性の腫瘍部よりも強く染色された。マウスと同様にヒト膀胱全摘標本におけるがん部、非がん部よりそれぞれgenomic DNAを抽出し、Real-timePCRを行い、UQCRBのcopy number aberrationを検討したところ、High Gradeの腫瘍ではLow Gradeの腫瘍に比しUQCRBのcopy numberは有意に減少していた。 以上の結果より、私たちが膀胱発がんマウスを用いてCGHアレイを行うことで着目したUQCRBは、発がん早期の段階ではcopy number、タンパクともに増加を示し、浸潤がん、低分化がんに進展する際にはともに減少していくことが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度に予定していた研究についてはおおむね終了しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
1)ヒトTUR標本を用いたUQCRB遺伝子のCNAの経時的変化の検討先に用いたヒト膀胱全摘標本と同一患者の以前のTUR標本よりPinpointTM Slide DNA Isolation Systemを用いてgenomic DNAを抽出し、SYBR® Greenを用いたReal-timePCRを行い、chromosome8q22のUQCRB遺伝子について全摘時との経時点変化を比較、検討する。2)ヒト膀胱がん細胞株を用いてのUQCRB遺伝子の機能解析ヒト膀胱がん細胞株を用いてのcopy number aberrationの解析により、UQCRBの遺伝子量の最も多かった細胞株を用いて機能解析を行う。siRNAによるUQCRBのknock downを行い、細胞増殖の検討、apoptosis関連タンパク、血管新生に関するタンパクのWestern blottingでの確認、フローサイトメトリーを用いての細胞死の確認を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
消耗品費:研究では遺伝子発現型細胞の構築と解析および培養が主になる。細胞に導入するsiRNAの購入。分子生物学的解析手法として免疫組織染色、northern blot、western blot、PCR、RNA protection assay、MTT assay、PCR、RT-PCR、ウエスタンブロット、免疫組織染色、FACSの試薬の費用とする。また、細胞培養では各種培養液、血清、抗生物質等の費用として用いる。国内外旅費:日本泌尿器科学会総会、日本癌学会、日本癌治療学会、日本分子生物学会、American Urological Association meeting、American Association of Cancer Research、American Society of Clinical Oncology等の学会に参加し成果発表する予定であり、その旅費、滞在費および学会参加費の一部に用いる。謝金等:実験動物管理または分子生物学的解析を行う研究助手を雇うため、一定の謝金が必要となる。その他:論文作成上の英文校閲委託料、投稿料として用いる。
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