2012 Fiscal Year Research-status Report
浸潤性膀胱がんの発生に関わる遺伝子UQCRBの同定とその機能解析
Project/Area Number |
23592344
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
秋田 英俊 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (10381782)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸澤 啓一 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40264733)
橋本 良博 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (40244561)
郡 健二郎 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30122047)
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Keywords | UQCRB / 膀胱がん |
Research Abstract |
遺伝背景、環境背景の統一された動物モデルを用いて、膀胱発がんにおけるゲノムの不安定性を調べることでヒトの発がん関連遺伝子を推察することを目的として以下の研究を行った。0.05%BHBNを自由飲水投与することで、マウスではヒトにおける浸潤性膀胱がんを作成し、これらの腫瘍組織より抽出したDNAより、オリゴヌクレオチドマイクロアレイCGHによる、CNAのゲノム網羅的な解析を行った。浸潤性膀胱がんマウスでは異なる5か所の染色体領域でCNAが認められ、全て増加を示していた。この結果より、浸潤性膀胱がんのゲノム不安定性に基づいたコピー数変化が同定されたため、その領域に含まれる遺伝子につき検討したところ、少なくとも1コピー以上の増加を示した遺伝子は4つであり、その中で人との相同性を示したのはUQCRBのみであった。そのUQCRBにつき膀胱がんマウスで経時的な変化を見たところ、発ガン早期にDNA、タンパクともに増加を認めた。ヒト膀胱全摘標本ではUQCRBのDNAは高悪性度に比較し低悪性度のがんでより増加を認めた。そのことよりUQCRBは膀胱がんにおいてはがんの進展過程のより早期に増加を示し進展のきっかけとなことが推測された。他のがん種での報告ではUQCRBは低酸素状態を感知し活性酸素種を産生し、血管新生に関与することが報告されているため、次に膀胱がん細胞株を用いてUQCRBをノックダウンし低酸素状態で培養することで機能解析を行ったところ、悪性度の低いRT4ではHIF1αの発現が低下したことより膀胱がんにおいても同様の役割を果たしていることが推測された。以上の結果より今後の研究で膀胱がんにおいてUQCRBががんの進展に関与しており、UQCRBを標的とした治療薬の可能性が示唆されたと思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
in vitroの実験でUQCRBをノックダウンすることでHIF1αは減少したが、細胞増殖については有意な差が出ず、再現性に乏しかった。
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Strategy for Future Research Activity |
動物モデルを用いて、発がん過程におけるUQCRB、apoptosis関連タンパク、血管新生関連タンパク(VEGF、HIF-1α)、iNOSについて免疫染色を行ことで発がんまでのタンパク発現の経時的な変化を比較検討することでUQCRBとがん関連タンパクの関係を考察する。 それと同時に現在行っているin vitroの機能解析も続行する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は引き続いて主に実験試薬類を購入する予定である。論文および学会発表のための英文校正料、学会参加費、学会旅費等が必要となる。データ整理のための実験補助を雇うため、人件費も必要と考える。
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Research Products
(1 results)