2012 Fiscal Year Research-status Report
難治性膀胱癌に対するキメラ型細胞融解性ベクターを用いた新規治療法の開発
Project/Area Number |
23592354
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
後藤 章暢 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (70283885)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長屋 寿雄 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (60464343)
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Keywords | 膀胱癌 / 腎臓癌 / アデノウイルス / CD46蛋白質 / 抗腫瘍効果 |
Research Abstract |
本研究では、再発率が高く予後不良である浸潤性膀胱癌に対する QOL を重視した新規治療法として純国産遺伝子治療薬の開発を目指している。 5型アデノウイルスベクター(Ad5)は細胞表面のCARを標的としているが、悪性度の高い癌細胞ではCAR発現の低下が報告されており、その低下はアデノウイルスの感染効率の低下を招いている。近年、35型アデノウイルス(Ad35)の標的分子がCD46であることが報告された。CD46はCARとは異なり悪性度の高い癌細胞でも発現が低下することはないことが分かっている。そこでAd5のファイバー・ノブ領域をAd35のファイバー・ノブ領域で置換したアデノウイルスベクター(Ad5F35)を作製した。これらのベクター(Ad5及びAd5F35)に腫瘍特異性プロモーターであるミドカインプロモーターとそのプロモーターにより発現を制御されるE1遺伝子を組み込み、最終的にキメラ型細胞融解性アデノウイルスベクター(Ad5F35/MKp-E1, Ad5/MKp-E1)を作製した。これらのウイルスベクターの抗腫瘍効果を腎癌細胞株で検討したところ、CAR低発現癌細胞株ではAd5/MKp-E1に比べてAd5F35/MKp-E1の抗腫瘍効果が増強していた。一方、CAR高発現癌細胞株では両者にほとんど違いはなかった。この結果はAd5F35/MKp-E1は膀胱癌だけでなく他の泌尿器系癌細胞に対して抗腫瘍効果を表すことを示唆しており、今後の研究の進展において非常に重要な知見が得られた。 さらに、in vivoでのアデノウイルスベクターによる治療実験を行うために、膀胱癌細胞株を用いてマウスでの腫瘍形成を検討したところ、KK47細胞やT24細胞でマウスに腫瘍が形成されることを確認した。今後は、T24細胞を用いて担がんマウスにおけるアデノウイルスベクターによる遺伝子治療などを行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成24年度初めに動物実験計画及びそれに伴う組換え遺伝子実験計画の学内申請を行なったが、その申請が承認されたのは平成24年度終わりであった。このため、平成24年度に担がんマウスを用いたアデノウイルスベクターによる遺伝子治療実験を行うことができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度および平成25年度の両年度においてマウスを用いたアデノウイルスの接種実験を計画していたが、前述の通り平成24年度の接種実験は全く遂行できなかった。 ようやく学内での動物実験計画及びそれに伴う組換え遺伝子実験計画の申請が承認されたので、平成24年度に計画していたin vivoでの実験を繰り下げて行い、さらに平成25年度に計画していたin vivoでの実験を予定通り行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度では、研究費は主に動物実験及びそれに伴う解析のために使用する予定であり、そのための研究費は十分にあると考えている。
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