2013 Fiscal Year Annual Research Report
難治性膀胱癌に対するキメラ型細胞融解性ベクターを用いた新規治療法の開発
Project/Area Number |
23592354
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
後藤 章暢 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (70283885)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長屋 寿雄 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (60464343)
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Keywords | 膀胱癌 / アデノウイルスベクター / 遺伝子治療 / CD46 / CAR |
Research Abstract |
本研究では、再発率が高く、予後不良である浸潤性膀胱癌に対する QOL を重視した新規治療法として純国産の遺伝子治療薬の開発を目指す。 ①膀胱癌細胞株(253J、5637、KK47、T24,TCC-SUP、UMUC3)はCD46を発現していること、②膀胱癌細胞株の中で悪性度の高いT24、TCC-SUPではCARの発現が低下していること、③細胞表面にあるCD46を受容体としたファイバー・ノブ領域置換型細胞融解性5型アデノウイルスベクターAd5F35/MKp-E1は、細胞表面にあるCARを受容体とした細胞融解性5型アデノウイルスベクターAd5/MKp-E1と比較して、より多くの種類の膀胱癌細胞に抗腫瘍効果を示すことを前年度までのin vitro実験により明らかにした(Urology, 2012)。これらの結果から、CAR低発現膀胱癌細胞株を用いて作製した膀胱癌皮下移植マウスにおいても抗腫瘍効果があることが期待された。そこで、CAR発現が低レベルであるヒト膀胱癌細胞株T24を用いて膀胱癌皮下移植マウスを作製し、Ad5F35/MKp-E1の抗腫瘍効果を検討した。腫瘍が形成された局所にAd5F35/MKp-E1 1x1010 virus particles/マウスの条件で皮下投与し、その抗腫瘍効果を調べるために腫瘍径を経時的に測定した。Ad5F35/MKp-E1投与群ではコントロール群(PBS投与群)と比較して、腫瘍体積の増加が抑制されることが観察された。一方、Ad5F35/MKp-E1投与による体重減少は観察されなかったことから、強い副作用はないと考えられる。 以上の結果から、35型アデノウイルスベクターのファイバー・ノブ領域を持つアデノウイルスベクターAd5F35/MKp-E1は低CAR発現膀胱癌細胞に対しても抗腫瘍効果を持つことを示しており、今後のアデノウイルスベクターによる膀胱癌治療の進展において非常に重要な知見が得られた。
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