2011 Fiscal Year Research-status Report
前立腺癌に対するユビキチン化蛋白蓄積を介した新規治療法の開発
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23592355
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Research Institution | National Defense Medical College |
Principal Investigator |
佐藤 全伯 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 医学教育部医学科専門課程, 助教 (00296675)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | ユビキチン化 / ヒストンアセチル化 / SAHA / bortezomib / 前立腺癌 |
Research Abstract |
本研究では、前立腺癌に対してユビキチン化蛋白蓄積を介した新規治療法を開発することを目的とし、本年度は主として、SAHAとbortezomibの併用が前立腺癌においてユビキチン化蛋白を蓄積し、細胞増殖を抑制するか、について検討を行った。前立腺癌培養株LNCaP, PC-3, DU145にSAHA及びbortezomibの併用療法を行ったところ、細胞増殖は効果的に抑制され、その効果は相乗的であることがChou-Talalay methodによるisobologram解析で明らかとなった。ヌードマウスを用いたPC-3皮下腫瘍モデルでの検討では、併用療法は有意に腫瘍の増大を抑制した。またannexin-V assay, アポトーシス関連蛋白の検討から、併用療法はアポトーシスを誘導することが示された。更に、細胞周期解析では、併用療法により劇的なsub-G1 fractionの増加が確認された。Western blot法による検討では、併用療法は相乗的に小胞体ストレスを誘導し、ユビキチン化蛋白を蓄積することが示された。大変興味深いことには、併用療法はヒストンのアセチル化も相乗的に促進し、これに伴いp21の発現が増加した。SAHAはヒストンをアセチル化するもののユビキチン化蛋白を蓄積せず、一方でbortezomibはユビキチン化蛋白を蓄積しヒストンをアセチル化したことから、ヒストンアセチル化はユビキチン化蛋白蓄積の2次的な現象と考えられた。更にアンドロゲンレセプターの発現がボルテゾミブの作用を減弱すること、SAHAがアンドロゲンレセプターの発現を抑制することも見出された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
予定していたSAHAとbortezomibの併用療法につき併用効果、そのメカニズムにつき解明することが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
SAHAとbortezomibの併用はユビキチン化蛋白を蓄積し、前立腺癌増殖抑制に有効であったが、これまでの検討ではHDAC6の抑制、小胞体ストレスの誘導が更に詳細なメカニズムとして重要であることが見出されている。即ち、HDAC6特異的阻害薬tubastatinや小胞体ストレスを誘導するritonavirとbortezomibの併用も効果的にユビキチン化蛋白を蓄積することが予想される。そこで、今後はtubastatin或いはritonavirとbortezomibの併用療法の研究を行い、より効果的なユビキチン化蛋白蓄積を介した新規治療法開発を目指す。更にはSAHAに比べ、より低濃度で作用するpanobinostatなど他のHDAC阻害薬とbortezomibの併用についても検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
順調に計画が進んだこともあり、抗体や消耗品の使用量、またヌードマウスの使用量が少なく済んだ可能性があり、次年度使用の研究費が生じた。次年度に請求する研究費と合わせ、更に詳細な小胞体ストレス経路の探索のための抗体購入、他の薬剤の組み合わせによる併用療法のヌードマウスを用いた検討に使用する予定である。
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Research Products
(2 results)