2013 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト前立腺におけるβ3‐アドレナリン受容体の発現とその機能の解明
Project/Area Number |
23592365
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
大塚 篤史 浜松医科大学, 医学部, 助教 (90362201)
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Keywords | 前立腺 / β‐アドレナリン受容体 / ヒト / β3‐アドレナリン受容体 / 平滑筋 |
Research Abstract |
ヒト前立腺におけるβ-アドレナリン受容体(β-AR)の各サブタイプの発現とその薬理学的機能を解明し、前立腺肥大症や神経因性膀胱などの下部尿路機能障害に対して、特にβ3‐AR作動薬が新たな治療戦略となりうるか検討した。 手術検体から採取されたヒトの摘出前立腺を標本としてRT-PCR法によりβ-ARの各サブタイプ(β1, β2, β3)のmRNAの発現について検討したところ、いずれのβ-ARのサブタイプ(β1, β2, β3)も正常前立腺組織ならびに前立腺肥大症組織の両者に発現していることが確認された。ヒト摘出前立腺の顕微鏡的正常部分のブロックからパラフィン切片を作成し、β-アドレナリン受容体の各サブタイプの発現ならびに局在を免疫組織化学染色法を用いて検討した。染色強度による比較から、β2‐ARは平滑筋細胞よりも腺上皮細胞に強く発現し、β3‐ARは腺上皮細胞よりも平滑筋細胞に強く発現しているものと思われた。ただし、β-ARの各サブタイプに対する抗体の特異性の問題が近年明らかになってきているため、その問題を解決すべく新規ポリクローナル抗体を作成してその評価を行っている状況である。 β-AR(特にβ3-AR)への刺激が前立腺平滑筋を弛緩させるか確認するためにヒト摘出前立腺標本を用いて薬理学的実験をin vitroで施行した。正常前立腺においてはイソプロテレノール(非選択的β-AR作動薬)、選択的β2作動薬、選択的β3作動薬のいずれも塩化カリウム収縮ないしは電気刺激収縮による平滑筋切片の収縮を濃度依存性に弛緩させることが確認された。また、前立腺肥大症組織ではその反応が減弱していた。 今後も研究の継続が必要であるが、前立腺組織はβ3-AR作動薬により弛緩することが明らかとなり、神経因性膀胱などの下部尿路機能障害に対してβ3‐AR作動薬が新たな治療戦略となりうる可能性が示唆された。
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