2012 Fiscal Year Research-status Report
低活動膀胱の画期的治療法の基盤的研究-トロポニンシステムの構築を中心として-
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23592371
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
梶岡 俊一 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任准教授 (90274472)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中山 晋介 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30192230)
米満 吉和 九州大学, 薬学研究科(研究院), その他 (40315065)
高橋 富美 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (50274436)
松田 美穂 九州大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (40291520)
関 成人 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 共同研究員 (90294941)
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Keywords | 膀胱平滑筋 / トロポニン / 低活動膀胱 |
Research Abstract |
本研究の目的は、未だ不明な点の多い平滑筋の収縮調節の分子機構を、平滑筋での心筋型トロポニンCの発見を足がかりとして、その生理学的意義を探り、さらに平滑筋にトロポニン収縮システムを新規に構築して、機能不全に陥った平滑筋疾患の改善、復活を、膀胱排尿平滑筋を用いて探ることである。トロポニンは、横紋筋である心筋、骨格筋に発現し、収縮機構の中心的な役割を果たし、トロポニンT、I、Cのサブユニット3量体から形成され、各々に心筋型、骨格筋遅筋型、骨格筋速筋型(トロポニンCでは、心筋型と骨格筋遅筋型は共通)があるので、計8種類のサブユニットが報告されている。平成23年度では、ヒト膀胱排尿平滑筋では、心筋型トロポニンTのみならず、すべてのタイプのトロポニンTが発現していることを報告したが、平成24年度の研究では、すべてのタイプのトロポニンTのみならず、骨格筋遅筋型のトロポニンIも蛋白レベルで発現していることを確認した。また、平滑筋に特有の収縮蛋白であるカルポニン、カルデスモンの抗体を用いて、Western Blottingでその存在も確認した。 また、In vivoの実験としては、マウスではそのサイズゆえに測定が困難であった排尿動態の記録、膀胱内圧の測定の実験システムを立ち上げることに成功した。当教室で、使用可能である心筋型トロポニンTヘテロノックアウトマウスの排尿動態、及び膀胱内圧をワイルドタイプと比較検討したが、有意な差は認められなかった。 また、オーガンバス収縮法を用いた実験では、トロポニン蛋白に作用し、カルシウムセンシタイザーと呼ばれるあるいは可能性のある試薬であるレボシメンダンに加え、ピモベンダンもヒト膀胱排尿平滑筋に適用してその効果を検討したが、双方の試薬とも、収縮力の増強効果は認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成24年度では、分子生物学的レベルでの膀胱排尿平滑筋の収縮蛋白及びトロポニンサブユニットの発現の包括的な検討は、ほぼ終了し、生理学的なマウスのIn vivoの排尿動態、膀胱内圧測定の実験システムの確立に成功したが、平滑筋でのトロポニンシステムの構築の確認に重要なトロポニンCのノックインマウスの作製に着手し、コンストラクトの作製、受精後約50匹の仔を得たが、トロポニンC発現しておらず、コンストラクトの再調整し、再びノックインマウスの作製にとりかかっている。 また、現存のトロポニン各種サブユニット消費後、再度トロポニン蛋白精製にとりかかったが、予想より時間を要しため、In vitroレベルでの生理学的実験にも遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
1)TnCノックインマウスの誕生作製を急ぎ、その完成後はIn vitro、In vivoでの生理学的機能の評価を包括的におこなう。 2)各種トロポニンサブユニットの蛋白精製に成功したので、これらを生理学的手法に用いて、定量的な効果を確認するとともに、蛋白レベルでの、各種トロポニンサブユニットと平滑筋特有の収縮蛋白であるカルポニンやカルデスモンとの複合体形成の可能性を探る。 3)平滑筋では、細胞内カルシウム濃度の変化によらない収縮力の増強であるカルシウム感受性は、Rho kinaseやprotein kinase Cが主役を担うが、これらの酵素とトロポニンとの関連も探っていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1) 実験動物購入/維持費 (トロポニンCノックインマウスの作製維持) 40万円 2)実験試薬及び器具維持費 (各種抗体、試薬、及び実験消耗品) 20万円 3)その他 (学会旅費、論文校正費、論文別冊代) 20万円 計 80万円
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