2013 Fiscal Year Annual Research Report
過活動膀胱の発生と前立腺におけるニューロモデュレーションシステムの解析
Project/Area Number |
23592373
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
相川 健 福島県立医科大学, 医学部, 准教授 (80295419)
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Keywords | 下部尿路機能 / 前立腺 / 求心性刺激 / ノルアドレナリン / アンジオテンシン |
Research Abstract |
ラット摘出前立腺の経壁電気刺激時のノルアドレナリン放出量はアンジオテンシンII前処置により増加した。このノルアドレナリン放出の増加はアンジオテンシンIIタイプ1受容体遮断薬であるロサルタン同時投与でほぼ抑制された。アンジオテンシンIIは、前立腺においてタイプ1受容体を介してノルアドレナリン放出の調整に関与していると考えられた。前立腺の収縮は、ノルアドレナリンによるα1受容体を介した作用であり、アンジオテンシンIIによる局所ノルアドレナリン放出量の増加は、前立腺の収縮反応すなわち排尿障害を強めている可能性が示唆された。また男性下部尿路症状の蓄尿症状にもα1受容体遮断薬が有効であることから、アンジオテンシンIIによる局所ノルアドレナリン放出量の増加は、蓄尿障害へも影響すると考えられた。そこで前立腺からの求心性刺激を介した蓄尿機能への影響を検討した。ラットの腹側前立腺にFastBlueを20ul注入し蛍光顕微鏡で色素の取り込みをカウントした。前立腺からの神経を介した求心性刺激はほぼL6、S1に入力されており求心性刺激の評価としてこの部位のc-Fos発現を検討した。前立腺にアンジオテンシンIIを投与するとc-Fos発現が増加しており前立腺でのアンジオテンシンIIは求心性刺激を活性化する生理活性物質の候補と考えられた。最終年度はこの求心性刺激の活性化が実際に蓄尿機能へ影響するのか確認するため麻酔下に連続的膀胱内圧測定をおこなった。アンジオテンシンIIを前立腺に注入する前後で排尿反射を比較した。投与後膀胱収縮間隔は短縮した。以上の結果から前立腺のアンジオテンシンIIの求心性刺激の活性化は蓄尿機能の低下を引き起こすことがin vivoの検討からも示唆された。さらに検証を進め蓄尿機能に対するアンジオテンシンIIの制御が治療として有効か明らかにすることは新しいメカニズムの治療法開発につながると考えられた。
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