2011 Fiscal Year Research-status Report
骨髄由来間葉系幹細胞を用いた閉塞性腎症に対する新規治療方法の確立
Project/Area Number |
23592377
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
浅沼 宏 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (70245570)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水野 隆一 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (60383824)
香野 日高 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (50338133)
大家 基嗣 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (00213885)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 間葉系幹細胞 / 上皮・間葉系形質転換 / 腎線維化 / 増殖因子 / サイトカイン / 閉塞性腎症 |
Research Abstract |
1. 閉塞性腎症に対する間葉系幹細胞の治療効果a) ヒト骨髄由来間葉系幹細胞(MSC)を投与前にPaul Karl Horan dye-26を用いて赤色蛍光標識し、Sprague-Dawleyラット片側尿管結紮モデルに注入後経時的に腎組織を採取して、蛍光顕微鏡を用いてその局在を詳細に評価し、幹細胞の局在ついて検討した。MSCは数週間にわたり腎間質と尿細管に局在することが判明した。b) ラットを麻酔後開腹して、1) 培養液のみをvehicleとして左腎動脈に注入し、その後左尿管を結紮した閉塞性腎症群、2) MSC(1x106/匹)を動注後に尿管結紮した幹細胞治療群、および3) 尿管結紮を行わないSham群を作製する。3日~4週間後に腎組織を採取して、western blotting法によりE-cadherin、α-SMA発現を評価すると伴に、組織切片のfibroblast specific protein-1染色により上皮・間葉系形質転換(EMT)について評価した。また、同組織を用いてELISA法による組織コラーゲン濃度測定、および組織切片のMasson’s trichrome染色により 腎間質線維化を評価し、各群間の比較検討を行った。MSCは閉塞性腎症に伴うEMTと腎線維化を防止することが示された。2. 間葉系幹細胞による腎線維化抑制効果の作用機序の解明a) 上記の実験で採取した腎組織をホモジナイズし、ELISA法により増殖因子、サイトカインの組織内タンパクレベルを評価した。 また、腎組織から抽出したRNAを用いてリアルタイムPCR法により増殖因子およびサイトカインの組織内遺伝子発現を評価し、間葉系幹細胞による腎線維化抑制効果に関するEMTおよび液性因子の関与を検討した。MSCによる腎線維化防止にはTNF-αの関与が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
以下の実験・研究が未施行であるため。1. 1週間前に予め左尿管結紮した腎間質線維化を確立したモデルについても同様の実験を行い、幹細胞治療効果を検討する。2. 両側尿管を部分結紮した両側閉塞性腎症モデルにおいても同様の実験を行い、経時的に採血、採尿により腎機能を評価すると伴に対象動物の生存期間を評価し、幹細胞治療の有効性を検討する。3. 上記治療後の動物モデルを6ヵ月以上の長期間にわたり経過観察することにより、腫瘍発生など長期合併症の有無を評価しその安全性を確認する。4. 上記実験で得られた結果を元に、関与が疑われる液性因子の抗液性因子抗体を同時に投与し、幹細胞の腎線維化抑制効果を比較検討する。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、以下の実験・研究を推進する。1. 1週間前に予め左尿管結紮した腎間質線維化を確立したモデルについても同様の実験を行い、幹細胞治療効果を検討する。2. 両側尿管を部分結紮した両側閉塞性腎症モデルにおいても同様の実験を行い、経時的に採血、採尿により腎機能を評価すると伴に対象動物の生存期間を評価し、幹細胞治療の有効性を検討する。3. 上記治療後の動物モデルを6ヵ月以上の長期間にわたり経過観察することにより、腫瘍発生など長期合併症の有無を評価しその安全性を確認する。4. 上記実験で得られた結果を元に、関与が疑われる液性因子の抗液性因子抗体を同時に投与し、幹細胞の腎線維化抑制効果を比較検討する。5. 関与が疑われる液性因子のsmall interfering-RNAによって特定液性因子発現をノックダウンした幹細胞を作製し、その治療効果を評価して作用機序を解明する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費は主に研究に必要な動物、試薬、抗体、細胞培養器具などの消耗品で使用予定である。タンパク質レベルでの発現あるいは細胞内局在の検索が主体であるため、抗体や試薬の購入に経費が多く当てられる。成果の発表に要する英文校正費、論文投稿費、旅費も経費として使用予定である。
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