2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23592381
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
久末 伸一 帝京大学, 医学部, 講師 (90404673)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井手 久満 帝京大学, 医学部, 准教授 (00301383)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 海綿体神経機能回復 / クーリッジ効果 / 加齢 / 肥満 / nNOS陽性神経 |
Research Abstract |
本研究の目的は根治的前立腺摘除術後のラットモデルにおいて加齢がいかに海綿体神経(副交感神経)損傷後の機能回復の低下につながるかのメカニズムを明らかにすることである。神経損傷後の勃起能回復は年齢によって異なることが、臨床上明らかになっている。今回、我々は若年モデルとして8週齢(ヒトにおける20歳前後)、加齢モデルとして1歳半(ヒトにおける60-70歳)の雄ラットを用い、海綿体神経損傷後の勃起能を骨盤神経電気刺激による海綿体内圧測定にて評価することができた。 また、臨床上、高齢カップルでは性交頻度が低下することが指摘されており、これがリハビリテーション効果を妨げ、勃起能回復を低下させる原因の一つと考えられている。今回、若年ラットにおいてパートナーを頻回に交代させるクーリッジ効果を狙った共棲モデルで勃起能回復が促進する結果が得られた。海綿体神経損傷4週後のICP/BP(血圧)は損傷群で0.153±0.049 (Mean±SD)と正常群0.513±0.156と比較して有意に低かった(p=0.001)。またパートナーとの共棲群では0.196±0.075であり、損傷群と有意な差を認めなかった(p=0.315)以上よりパートナーとの共棲だけでは海綿体神経損傷後の勃起能回復への良好な結果が得られなかった。 通常、げっ歯類を含む哺乳類では雌との共棲で4-5回の性交を持つがその後、同じパートナーとは性交を持たず、別の雌を投与すると性交が再開されるという現象が認められる。これをクーリッジ効果と呼ぶが、我々はクーリッジ効果を確認する目的で雌をケージごとに一週間おきにローテーションする方法を試みた(n=5)。その結果、ICP/BPは0.247±0.030と損傷群と比較して有意に上昇した(p=0.007)。このことから、性交を試みる機会が多いほど、勃起能回復が促進される可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
神経損傷モデルの作成と経時的機能評価と骨盤神経節の神経栄養因子受容体およびnNOSの発現変化と陰茎海綿体の組織変化の検討を行うことが平成23年度の計画であった。加齢モデルの作成は達成できたが、これらに神経損傷を施す神経損傷モデルの作成は達成できなかった。新しいリハビリモデルとしてのクーリッジ効果を利用したものが確立し、論文化もできたことから、初年度の研究計画の達成度としてはおおむね達成できているものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
主研究者の所属機関が変更となったことから、研究設備の関係でこれまで使用していた設備が一部使用できないため、若干の軌道修正が必要となった。しかしながら、新たに神経由来のNOを産生するNO合成酵素であるnNOSノックアウトマウスが入手可能となった。このことから、これを用いた加齢と神経機能解析が施行可能となった。これまでの検討と合わせて、メタボリック症候群を含め、さまざまな疾患、病態と海綿体神経機能回復とを検討する研究計画の補正と追加を考えている。nNOS陽性神経と海綿体神経は強く関連しており、この研究によってさらに当初考えていた研究計画を進展することができるものと考える。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
免疫染色、ウェスタン・ブロッティング法のための抗体。海綿体内圧測定のための新規測定機器。Powerlab8/35データ収録装置。4連ブリッジアンプ、ディスポ血圧トランスデューサ。海綿体神経電気刺激装置。
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