2012 Fiscal Year Research-status Report
アルコールはセルトリ細胞のオートファジーを増加させる
Project/Area Number |
23592386
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
EID NabilA.S. 大阪医科大学, 医学部, 講師 (50570165)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大槻 勝紀 大阪医科大学, 医学部, 教授 (50140166)
伊藤 裕子 大阪医科大学, 医学部, 講師 (40148432)
神原 清人 大阪医科大学, 医学部, その他 (40298758)
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Keywords | オートファジー / 精巣 / アルコール / セルトリ細胞 / 精細胞 / ミトファジー / リポファジー |
Research Abstract |
慢性アルコール中毒のセルトリ細胞はオートファジーを活性化することにより、生存しているのではないかと仮説をたて、実験を行った。また、アルコールにより多量のリピッドが蓄積するアルコール肝を体細胞の例として比較検討した。Wistarラットに5%のエチルアルコールを加えたLiever-DeCarli liquid dietを12週間与えた後の精巣を試料とした。TUNEL法でアポトーシスを検討すると、精細胞にはアポトーシスが観察されたがセルトリ細胞では認められなかった。電顕観察で慢性アルコール中毒のセルトリ細胞の細胞質にはオートファジックバキュオールが多数観察された。また、オートファジックバキュオールの内容物の多くは変性したミトコンドリア、脂肪滴であり、ミトファジーまたはリポファジーが起こっていると考えられた。オートファジーのマーカーであるLC3、オートファゴソームのマーカーLAMP2で免疫染色すると、慢性アルコール中毒のセルトリ細胞の細胞質に点状に多数のオートファジックバキュオールが観察された。電顕レベルの免疫染色でミトコンドリアを隔離したオートファゴソームにLC3が認められた。アルコール肝細胞においても多量のリポファジーが起こっており、処理できない場合にはアポトーシスに陥っていた。以上から、セルトリ細胞はアルコールによりダメージを受けたミトコンドリア、傷ついた不飽和脂肪酸をオートファジーで処理することで生存していることが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度までにin vivoでセルトリ細胞はアルコールによりダメージを受けたミトコンドリア、傷ついた不飽和脂肪酸(脂肪滴)をオートファジーで処理することで生存していることが確認できた。また、目標としていたJapan-Asean conference on men’s health & agingにおいても発表し、肝臓におけるオートファジーについて論文を発表している。しかし、 in vitroの実験に取り掛かっておらず、少し遅れ気味である。
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Strategy for Future Research Activity |
In vitroの実験系を確立して、アルコールによるセルトリ細胞のオートファジーをブロックする方策を以下のように検討する。42GPA9マウスのセルトリ細胞株を10% fetal bovine serum (FBS), 100 U/mL penicillin, and 100 μg/mL streptomycin含有のEagle mediumで5%CO2インキュベーターにて培養する。アルコールの直接的影響を検討するために3% FBS含有のダルベッコ緩衝液でエタノールを2.5, 5, 10, 25mMに希釈した溶液でそれぞれ24, 48, 72時間培養する。生存率はCell-Titer Blue Cell Viability Assay Kitを用いて行う。Beclin-1, LC-3, LAMP-2でオートファジーの検索を、酸化ストレスマーカー8-OHdG, HNE、脂肪の同定はOil Red O染色で行う。オートファジー阻害実験:クルクミン、マンゴスチンの至適濃度はCell Viability Assayで決定する。エタノール添加培養によりオートファジーを誘導し、至適濃度のクルクミン、マンゴスチンを添加、オートファジー阻害効果の評価はBeclin-1, LC-3, LAMP-2抗体を用いたWestern blotで行う。Caspase活性測定によりオートファジーのシグナル伝達経路が推測された場合には、そのCaspase阻害剤を添加して確認する。 In vivoで急性アルコール障害ラットモデルを作製して証明する。クルクミン、マンゴスチンをそれぞれ80mg/Kg ~160mg/Kgまでの濃度を振り分けて経口投与する。投与期間は経時的に8週までとする。治療効果およびオートファジーの評価はH.E染色、Beclin-1, LC-3, LAMP-2の組織学的、生化学的検索による。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
In vitroでの実験がメインとなる。培養関係の試薬とくにFBS、マンゴスチンクルード原末がその中では高価となる。
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