2012 Fiscal Year Research-status Report
ヒアルロン酸をキーワードに新たな早産予知と治療に挑む
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23592389
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
伊東 麻美 弘前大学, 医学部附属病院, 助教 (30536511)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 幹二 弘前大学, 医学部附属病院, 准教授 (20311540)
柿崎 育子 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80302024)
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Keywords | 切迫早産 / 子宮頸管無力症 / ヒアルロン酸 / 4-methylumbelliferone |
Research Abstract |
本研究は、切迫早産の主因の一つである子宮頸管無力症の治療法を主眼としている。Key wordはヒアルロン酸(HA)である。HAはコラーゲンや他のグリコサミノグリカン(GAG)と共に子宮頸管の主要構成成分であるが、妊娠末期に他のGAGとは全く異なる挙動を示し、数時間のうちにそれ以前の10倍以上に急増しながら分娩終了と共に素早く元に復する。このHAの急増により子宮頸管は膨潤化され、コラーゲンによるネットワークが破壊されて頸管はどんどん軟化開大し急速に分娩に向かうことが知られている。従って、このHA合成を抑制できれば切迫早産を治療できる可能性がある。 切迫早産・子宮頸管無力症治療薬として4-methylumbelliferone(MU)の臨床応用の可能性について研究を進めている。本年度はヒト子宮頸管培養線維芽細胞を用いた実験において、MU 0.5mM/L、1.0 mM/Lを各々添加し、48時間まで培養した後に、培養液中のHA産生量をELISA法を用いて測定した。その結果、①子宮頸管線維芽細胞におけるHA合成量は経時的に増加した、②MUを投与することによりHA合成はコントロール群に比較して有意に抑制された、 ③MUは濃度依存的にHAの合成を抑制した。以上のことが判明し、MUは子宮頸管無力症の治療薬となり得る可能性が示唆された。 また、次年度のラビット実験に使用予定であるMU腟坐薬の作成に成功すると共に、ラビット実験の研究プロトコールを作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
4-methylumbelliferone(MU)がヒト子宮頸管培養線維芽細胞においてヒアルロン酸の合成を経時的に抑制することが確認でき、MUの切迫早産・子宮頸管無力症治療薬としての可能性が示された。また次年度施行予定であるラビットを用いた動物実験の準備を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
妊娠22日に抗プロゲステロン剤であるRU486を筋注することによりラビット早産モデルを作成する。この早産ラビットにRU486投与前日(妊娠21日)より分娩時までMU腟坐薬を毎日同時刻に投与する。コントロール、MU投与群、MU非投与群に分けてRU486投与から分娩までの時間を比較する。MU投与の有無により子宮頸管にいかなる組織学的差異が生じているかについて病理学的に観察し、MUの早産抑制効果を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ラビットを中心としたin vivoでの実験のため、妊娠ラビットの購入や飼育料、またMU等の試薬に約100万円、その他は実験の消耗品、資料収集のための学会参加に要する。
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Research Products
(2 results)