2011 Fiscal Year Research-status Report
超低出生体重児の消化管成熟に向けた治療戦略:肺サーファクタントを用いた動物実験
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23592397
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
西島 浩二 福井大学, 医学部, 助教 (80334837)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 肺サーファクタント / 胎脂 / ミセル / 消化管成熟 / 壊死性腸炎 / 低出生体重児 |
Research Abstract |
【緒言】これまでの研究により、肺サーファクタント製剤 (サーファクテン,田辺三菱製薬株式会社) とヒト胎脂を用いて作成したサーファクテンミセル溶液が、ウサギ胎仔の小腸上皮に直接的に作用する可能性が示唆された。【方法】サーファクテンミセル溶液の体内動態をさらに検証するために、サーファクテンミセルを簡略化した構造を持つ蛍光標識リポソームに金コロイド粒子(Gold Colloid, 5nm, British BioCell International, Ltd.)を付着させて、妊娠ウサギへの投与実験を行った。妊娠25日目のウサギ羊水腔内にミニ浸透圧ポンプを留置し、一定流速で金コロイドリポソームを投与した。5日目に胎仔小腸と肝臓を取り出した。小腸と肝臓の各組織標本を蛍光顕微鏡と電子顕微鏡を用いて観察した。【結果】羊水中に投与された金コロイドリポソームは、小腸上皮の微絨毛に付着した。しかしながら、小腸上皮に吸収された所見を捉えることは出来なかった。また、胎仔肝臓組織内で検出することも出来なかった。【考察】羊水腔に投与されたサーファクテンミセル溶液もまた、胎仔に嚥下されて、小腸上皮に到達すると推測された。また、その作用は小腸に吸収されて起きるのではなく、小腸上皮を覆うことによってもたらされる可能性があると推測された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
RI試薬を用いたトレーサー実験は実施することが困難であったため、交付申請書に記載した方法とは異なる実験方法を採用した。しかしながら、サーファクテンミセル溶液の体内動態を検討するという当初の研究目的は概ね達成された。
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Strategy for Future Research Activity |
サーファクテンミセル溶液の新生児壊死性腸炎予防効果の検討:新生児壊死性腸炎ラットモデルを作成し、サーファクテンミセル溶液の壊死性腸炎予防効果を検討する。1. 新生児壊死性腸炎動物モデルの作成:出生直後のラット新生仔を、37℃の新生児用インキュベーターに移動させる。新生仔の状態が安定しているのを確認した後に、明治LW(明治乳業株式会社)とPETS OWN PUPPY MILK (CONNEX UNITED PROCESSORS) を用いて調整した人工乳0.2 mLを1日3回経腸投与する。95%CO2に5分間、4℃の寒冷刺激に5分間、97%O2に5分間暴露させる(1日2回)。実験開始4日目に、新生仔を安楽死させる。2. 実験デザイン:60匹のラット新生仔を以下の3群に振り分ける:NEC群(壊死性腸炎群), NEC+STA群(サーファクテンミセル溶液を投与した後に、壊死性腸炎を起こさせる群), control群(母ラットの授乳を自由に受ける群)。各新生仔の体重の増減を、毎日記録する。1) 壊死性腸炎負荷:NEC群とNEC+STA群のラット新生仔を、出生直後に37℃のインキュベーターに移動させる。NEC群には、1で示した負荷を加える。NEC+STA群には、サーファクテンミセル溶液を投与した後に、1で示した負荷を加える。実験開始4日目に、全ての新生仔を安楽死させ、壊死性腸炎の所見の有無を観察する。さらに、回腸末端を2cm摘出し、以下の検討に供する。2) 組織学的検討ならびにアポトーシスの評価:摘出検体にHE染色を行い、組織学的に検討する。また、TUNEL染色を施し、アポトーシスに陥った細胞の有無を調べる。各群の有意差検定には、Kruskal-Walis分散分析、Mann-Whitney U検定を用いる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
以下の物品に研究費を使用する予定である。汎用試薬妊娠ウサギ:10羽、妊娠ラット:15匹国内旅費:第64回日本産科婦人科学会学術講演会、第48回日本周産期・新生児医学会学術集会データ処理用パーソナルコンピュータ
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