2012 Fiscal Year Research-status Report
生殖医学におけるTIMPの役割-着床障害マウスにおける不妊症と妊娠高血圧症候群-
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23592401
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
筒井 建紀 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00294075)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
香山 晋輔 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30528005)
中村 仁美 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80467571)
熊澤 惠一 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90444546)
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Keywords | 妊娠高血圧症候群 / 着床不全 / TIMP / MMP / 不妊症 |
Research Abstract |
平成24年度は、TIMP-3を妊娠初期マウス子宮に遺伝子導入する手技が安定し、交配後6.5日目の妊娠マウス子宮局所に、TIMP-3を安定的に遺伝子導入できるようになり、妊娠高血圧症候群モデルマウスを作成できるようになった。 TIMP-3遺伝子導入マウスは、妊娠後半期の尾動脈収縮期血圧の上昇を認め、着床期子宮内膜側のTIMP遺伝子のmanipulationが妊娠高血圧症を惹起する可能性を示唆する結果となった。 しかし、TIMP-3遺伝子導入妊娠マウスの胎盤所見からは、妊娠高血圧症に特徴的な子宮脱落膜への浅い浸潤(shallow placentation)を確認することはできなかった。さらに、TIMP-3遺伝子導入妊娠マウスは、コントロールマウスと比較し、尿中タンパク濃度の有意な上昇を認めなかった。従って、現在のところTIMP-3の子宮への遺伝子導入のみでは、妊娠高血圧症候群に伴う全ての表現型を再現することはできないと考えている。 また、レンチウイルスを用いてTIMP-2を透明帯除去マウス胚盤胞へ遺伝子導入することにより、着床期胎盤でのTIMP-2の過剰発現に成功した。現在TIMP-2過剰発現マウスの解析を開始するところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本申請の3年間の間に、我々がこれまで取り組んできた一過性子宮局所における遺伝子導入法を用いて、妊娠高血圧症候群の病態の解明を目標として、TIMP-3の子宮局所における機能とそのシグナルトランスダクションを解明したいと考えている。さらに、レンチウイルスを用いた着床期胎盤への遺伝子導入法を用いて、子宮内膜との相互作用におけるTIMP-2の役割の解明を目標とする。すなわち、 (1)TIMP-3の発現が認められない時期に、TIMP-3を子宮局所で強制発現させる事により妊娠高血圧症候群モデルマウスを作製する。(2)正常妊娠経過におけるTIMP-3の発現誘導の機序についてDNAマイクロアレイ解析を行う。(3)これまで妊娠高血圧症候群に関係するいくつかのTIMPsのサブタイプが報告されており、どのサブタイプが重要な役割を果たしているかを同定する。さらに、(4)絨毛細胞と子宮内膜との接触(着床現象)におけるTIMP-2の役割の解析を行う。以上が3年間の目標である。 現在のところ、(1)と(4)の研究が順調に進んでいる。しかし、(2)、(3)の研究については、今年度より開始する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究としては、次の2項目となる。 ①正常マウス妊娠経過におけるTIMP-3の子宮局所発現の制御機構についてDNAマイクロアレイ解析を行う。また、これまでいくつかのTIMPsのサブタイプが報告されており、妊娠高血圧症候群に関係するサブタイプを同定する。これにより、ヒト妊娠高血圧症候群における子宮脱落膜のTIMPsと絨毛細胞のMMPの発現制御についての妊娠経過における発現制御について詳細な解析を行い、治療の可能性について検討する。 ②我々は、着床に関わる遺伝子を解析する目的で、TIMP-2遺伝子をマウス胚盤胞へ導入し、着床期絨毛細胞特異的にTIMP-2を導入する予備実験に成功し、TIMP-2遺伝子導入を行ったマウス胚盤胞には、胎盤特異的なTIMP-2遺伝子導入を確認した。さらにTIMP-2遺伝子を絨毛細胞に導入したマウス胚盤胞と、コントロール遺伝子を導入した胚盤胞をそれぞれ偽妊娠マウス子宮に同数ずつ胚移植し、産仔数を比較したところ、TIMP-2導入マウスからの産仔数が、有意に上昇した。TIMP-2遺伝子の着床部位の発現パターンを確認し、着床部位における他のMMPs/TIMPsサブタイプの発現プロフィールを免疫組織学的に検討し、TIMP-2の着床における役割を詳細に検討する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費の使用計画としては主に、以下の項目に使用する予定である。 1.マウスの購入。2.DNAマイクロアレイによる妊娠子宮内膜及び胎盤での発現制御の解析のための必要物品の購入。3.TIMPs及びMMPsに対する抗体等の購入。4.レンチウイルスを用いたマウス胎盤特異的遺伝子導入システムに必要な物品の購入。5.結果解析のためのソフトウエア等の購入。6.研究成果発表のための学会・研究会出席に必要な費用。
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Research Products
(25 results)
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[Journal Article] Low Serum Concentrations of Anti-Mullerian Hormone Are Common in 53 Female Childhood Cancer Survivors2013
Author(s)
Miyoshi, Y. Ohta, H. Namba, N. Tachibana, M. Miyamura, T. Miyashita, E. Hashii, Y. Oue, T. Isobe, A. Tsutsui, T. Kimura, T. Ozono, K.
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Journal Title
Horm Res Paediatr
Volume: 79
Pages: 17-21
DOI
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[Journal Article] A case of simultaneous transvaginal NOTES gastrectomy and vaginal hysterectomy in a patient with gastric submucosal tumor and uterine prolapsed2012
Author(s)
Hirota, M. Nakajima, K. Hara, J. Takahashi, T. Yamasaki, M. Tsutsui , T. Kobayashi, E. Kurokawa, Y. Miyata, H. Takiguchi, S. Mori, M. Doki, Y.
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Journal Title
Asian J Endosc Surg
Volume: 5
Pages: 168-171
DOI
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[Journal Article] Salvage chemotherapy using gemcitabine for taxane/platinum-resistant recurrent ovarian cancer: a single institutional experience2012
Author(s)
Yoshino, K. Hiramatsu, K. Enomoto, T. Fujita, M. Ueda, Y. Kimura, T. Kobayashi, E. Kiyohara, Y. Tsutsui, T. Kimura, T.
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Journal Title
Anticancer Res
Volume: 32
Pages: 4029-4033
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