2012 Fiscal Year Research-status Report
母体血漿中胎児・胎盤特異的mRNA/microRNAの同定と臨床応用に関する研究
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23592406
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
三浦 清徳 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (00363490)
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Keywords | microRNA / 胎児発育不全 / 胎盤 / 母体血漿 / 胎児 / C19MC |
Research Abstract |
胎児発育不全(FGR)と関連する胎盤特異的microRNAの同定:10個のplacenta-specific miRNAsが同定され、それらは全て19q13.42領域にクラスターを形成して存在していた(chromosome 19 miRNA cluster:C19MC)。そのうち、7個 (has-miR-518b, -1323, -516b, -515-5p, -520h, -519d , -526b) がFGR placenta-specific microRNAとして同定された(Mann-Whitney-U test, P 値<0.05)。そして、正常胎盤組織と比較してFGRの胎盤組織において最も有意に発現量が低下していた4個のFGR placenta-specific microRNA (has-miR-518b,-1323, -520h and -519d) について、分娩前後の母体血漿中への流入量を検討し、いずれもFGR pregnancy-associated, placenta-specific miRNAsであることが確認された(Wilcoxon signed-rank tests, P 値=0.005)。しかし、母体血漿中に流入しているFGR pregnancy-associated, placenta-specific miRNAs量については、FGR群と正常妊娠群に有意差は認められなかった(Mann-Whitney’s U test, P値>0.05)。C19MC領域のFGR placenta-specific microRNAの発現低下が、FGRの病態形成に関連していることが示唆された(Prenatal Diagnosis 2013)。一方、妊娠中期―末期の胎盤特異的microRNA流入量とFGRに伴う胎児・胎盤機能不全との関連は認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の明確な研究目標は以下の2点であった。 1)妊娠中期―末期の母体血漿中microRNA流入量と胎児・胎盤機能不全との関連解析 2)発症前に採血した母体血漿中microRNA流入量と産科疾患との関連解析 平成23年度に同定された胎盤特異的microRNAのうち、平成24年度は胎児発育不全(FGR)20例と正常妊娠20例について、胎盤および血漿中の流入量を定量解析し、FGRに関連する4個のFGR placenta-specific microRNAを同定した。FGRの胎盤におけるFGR placenta-specific microRNAの発現量は正常妊娠の胎盤における発現量と比較して有意に低下していたが、妊娠中期―末期の胎盤特異的microRNA流入量とFGRとの関連は認められなかった。一方、妊娠高血圧症候群と妊娠中期―末期のcffmiRNA流入量との関連を認める報告もあり、妊娠中期―末期のplacenta-specific microRNA流入量と胎盤異常(機能異常あるいは病理学的異常)に関連する疾患との関連が示唆された。本研究の成果は、査読のある英文誌に公表された(Prenatal Diagnosis 2013)。胎盤特異的microRNA流入量と疾患との関連解析の方法を確立したので、平成25年度は研究対象を前置胎盤、癒着胎盤、PIH(早期発症型、晩期発症型)および常位胎盤早期剥離に拡大して解析する予定である。 以上より、平成24年度の研究計画は順調に進展した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は順調に進展しており、当初の計画通りに研究を進める。H25年度の明確な研究目標をいかに挙げる。 1)母体血中microRNA流入量の定量化による胎児・胎盤機能検査、産科疾患の発症リスク推定の可能性を明らかにする(三浦):1.胎児・胎盤機能不全と診断された妊婦10例および正常妊婦10例を対象として、母体血中胎盤特異的microRNA流入量を定量し胎児・胎盤機能不全に特徴的な流入パターンをモニターしうるのか評価する。2.前置胎盤20例、癒着胎盤10例、PIH(早期発症型、晩期発症型)30例および常位胎盤早期剥離10例と正常妊婦50例を対象として、それぞれ疾患発症前に採血した妊娠初期の母体血中胎盤特異的microRNA流入量を定量して産科疾患に特徴的な流入パターンをモニターしうるのか評価する。 2)トランスクリプトームからみた産科疾患の病態メカニズムの解明に迫る(三浦): 1.miRbase(microrna.sanger.ac.uk/)によるデータベース検索を行い、疾患特異的な胎児・胎盤由来cell-free microRNAとそのターゲットになるmRNAの候補をスクリーニングする。2.網羅的解析データを利用して疾患群で高発現しているmRNAと発現が低下しているmicroRNA、あるいは低発現しているmRNAと高発現しているmicroRNAのセットを同定することで、その候補をさらに絞り込む。3. ウエスタンブロットによる蛋白レベルの解析およびreporter gene assayを行い、疾患特異的な胎児・胎盤由来cell-free microRNAとそのターゲットになるmRNAを同定し、産科疾患の病態メカニズムに関わるトランスクリプトームに関する知見を得る。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度はFGRの病態にターゲットを絞り、胎盤特異的microRNA流入量と疾患との関連解析の方法を確立した。したがって、リアルタイムRT-PCRに用いる試薬およびキットにかかる研究費が当初の計画より少なかった。平成25年度は、母体血による胎児・胎盤機能評価に関する詳細な知見を得るため、研究対象となる疾患を拡大する必要がある。したがって、リアルタイムRT-PCR法に用いるキットおよび試薬類に当初の計画より多くの研究費を使用する予定である。
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Research Products
(22 results)
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[Journal Article] Characterization of placenta-specific microRNAs in fetal growth restriction pregnancy2013
Author(s)
Higashijima A, Miura K, Mishima H, Kinoshita A, Jo O, Abe S, Hasegawa Y, Miura S, Yamasaki K, Yoshida A, Yoshiura KI, and Masuzaki H
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Journal Title
Prenatal Diagnosis
Volume: 33
Pages: 214-222
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[Journal Article] Abe S, Miura K, Kinoshita A, Mishima H, Miura S, Yamasaki K, Hasegawa Y, Higashijima A, Jo O, Sasaki K, Yoshida A, Yoshiura KI, and Masuzaki H. Copy number variation of the antimicrobial-gene, defensin beta 4, is associated with susceptibility to cervical cancer2013
Author(s)
Abe S, Miura K, Kinoshita A, Mishima H, Miura S, Yamasaki K, Hasegawa Y, Higashijima A, Jo O, Sasaki K, Yoshida A, Yoshiura KI, and Masuzaki H
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Journal Title
J Hum Genet
Volume: 印刷中
Pages: 印刷中
DOI
Peer Reviewed
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