2011 Fiscal Year Research-status Report
網羅的遺伝子解析法を用いた子宮内膜症の病態の解明と新しい薬物療法の開発
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23592407
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
楢原 久司 大分大学, 医学部, 教授 (60211447)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奈須 家栄 大分大学, 医学部, 准教授 (30274757)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 子宮内膜症 / 病態 / 薬物療法 / マイクロアレイ / アポトーシス / エピジェネティクス |
Research Abstract |
子宮内膜症は子宮内膜あるいはその類似組織が子宮外で発育増殖する疾患であり、生殖年齢女性に好発する。その発症機序は明らかではないが、2007年に子宮内膜症ではDNAのメチル化がその発症に関与しているとの報告がなされ、エピジェネティックな変化が注目されるようになった。我々はヒストンのアセチル化に注目し、培養子宮内膜症性嚢胞間質細胞を用いて、histone deacetylase inhibitor (HDACI)の効果について検討した。その結果、子宮内膜症間質細胞におけるアセチル化ヒストンH3,H4は正常子宮内膜間質細胞に比して低いことが分かった。HDACIsにより、細胞増殖は抑制され、細胞周期の停止およびアポトーシスが誘導された。また、HDACIsにより、p16INK4a, p21Waf1/Cip1, p27Kip1, cell cycle chekpoint kinase 2 (chk2)の発現が誘導され、B-cell lymphoma/leukemia (Bcl)-2およびBcl-XLの発現が抑制された。一方、HDACIsはp16INK4a, p21Waf1/Cip1, p27Kip1, chk2のプロモーター領域においてヒストンH3,H4のアセチル化を誘導した。 本研究により、HDACIが子宮内膜症性嚢胞間質細胞の細胞増殖抑制、細胞周期の停止、apoptosisへの誘導に関与している可能性が示唆された。HDACIはヒストンのアセチル化を誘導するため、遺伝子の転写が活性化し、細胞増殖抑制、細胞周期の停止およびアポトーシス誘導を起こすと推測された。以上より、HDACIは子宮内膜症の新しい作用機序に基づく治療薬として有望と考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに、子宮内膜症発症の原因と考えられる複数の候補遺伝子が抽出できているから。
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Strategy for Future Research Activity |
子宮内膜症組織および正常子宮内膜組織から抽出したgenomic DNA、messenger RNA、microRNAおよび培養した子宮内膜症間質細胞および正常子宮内膜間質細胞から抽出したgenomic DNA、total RNAを用いてCGHマイクロアレイ、CpG islandマイクロアレイ、cDNAマイクロアレイ、microRNAマイクロアレイによるゲノムコピー数、メチル化ゲノム領域、mRNA発現ならびにmicroRNA発現の網羅的解析を行うことにより、子宮内膜症組織と正常子宮内膜組織、子宮内膜症間質細胞と正常子宮内膜間質細胞における分子生物学的特性の相違について検討する。現在までに子宮内膜症では多くの遺伝子およびその発現の異常が報告されているが、各種のマイクロアレイを用いた網羅的解析を行うことにより、子宮内膜症の病態について、さらに解明されると考えられる。得られたデータを元に、分子生物学的手法および細胞生物学的手法を用いてさらに詳細に検討を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
現在、cDNAマイクロアレイによる網羅的解析法を用いて、子宮内膜症の病態形成に関与する遺伝子群の抽出を行っている。現在までに、子宮内膜症発症の原因と考えられる複数の候補遺伝子が抽出できており、平成25年度は各々の遺伝子について、詳細な検討を行っていく予定である。具体的には、抽出された候補遺伝子について、培養細胞および組織におけるmRNAおよび蛋白の発現を検討する。次に、候補遺伝子を強制発現またはノックアウトし、機能解析を行う。これらの研究に必要となる消耗品の購入に、本研究費を用いる予定である。
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Research Products
(28 results)
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[Journal Article] Aberrant DNA methylation status of endometriosis: Epigenetics as the pathogenesis, biomarker, and therapeutic target.2011
Author(s)
Nasu K, Kawano Y, Tsukamoto Y, Takano M, Takai N, Li H, Furukawa Y, Abe W, Moriyama M, Narahara H.
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Journal Title
J Obstet Gynaecol Res
Volume: 37 (7)
Pages: 683-695.
Peer Reviewed
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