2011 Fiscal Year Research-status Report
子宮腔内液性因子に注目した着床不全の病態解明と治療法の開発
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23592413
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
井上 治 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (10464976)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浜谷 敏生 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (60265882)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | CD9 / 子宮内腔 / 子宮内膜 / 液性因子 / MMP / 不妊症 / 着床不全 / 炎症 |
Research Abstract |
本研究では、着床期に子宮内腔に存在する液性因子に注目して、子宮の着床能評価および着床不全メカニズムの解明を試みた。まず、CD9について検討した。免疫組織化学により、マウス子宮内膜におけるCD9 の発現パターンを明らかにし、子宮内腔洗浄液を用いたウェスタンブロットでは、マウスおよびヒトで着床期の子宮内腔にCD9 が存在することが明らかとなった。ヒト子宮内腔洗浄液中のCD9陽性率を検討したところ、不妊初診患者(コントロール)(56例)と反復着床不全例(70例)を比較すると、反復着床不全例で有意に減少していた。また、不妊初診時にCD9陽性(29例)の方が陰性(27例)に比べて、その後妊娠する率が高い傾向が認められた。一方、子宮内容掻爬術の既往がある症例(25例)でも、無い例(34例)に比べて、有意に減少していた。さらに、内膜菲薄例(15例)でも、内膜正常例(51例)に比べて、有意に減少を認めた。以上の結果から、子宮内腔におけるCD9の存在が着床あるいは妊娠率に重要な役割があることが示唆された。一方、CD9ノックアウトマウス(♀)との交配では、2回目以降の妊娠で産仔数が激減することが明らかとなった。今後は、マウスモデルも用いて、着床および着床周辺期胚発生において子宮内膜および子宮内腔のCD9が果たす役割について検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究結果から、ヒトおよびマウスの着床あるいは着床周辺期胚発生に、子宮内腔におけるCD9の存在が重要であることが示唆されており、有意義な研究成果が得られつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒト子宮内腔洗浄液中のCD9陽性率について、さらに症例数を増やして検討する。また、マウス子宮におけるCD9の発現を詳細に検討し、CD9ノックアウトマウスを用いて、2回目以降の妊娠において、子宮内膜および子宮内腔のCD9の意義について検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度の実験系にかかる試験試薬や、解析費用、マウス の飼育など消耗品に予算の大部分を計上する予定である。1.MMPsについて:子宮腔内洗浄液を検体としgelatin zymogramを作成し、スコアリングする。2.CD9について:子宮腔内洗浄液を検体として、タンパク質定量キット(Molecular Probes)で総タンパク量を揃えた後にWestern Blottingを行い、バンドの有無を観察する。また、学会に参加・聴講し新しい知識を取り入れ研究の役に立てる。未使用額の発生は効率的な物品調達を行った結果であり、翌年度の消耗品購入に充てる予定である。
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Research Products
(7 results)