2011 Fiscal Year Research-status Report
絨毛細胞障害のCD44細胞内シグナル伝達系を介した修復制御機構の検討
Project/Area Number |
23592416
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
杉村 基 順天堂大学, 医学部, 准教授 (30273189)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 利隆 順天堂大学, 医学部, 准教授 (30407283)
牧野 真太郎 順天堂大学, 医学部, 助教 (70570894)
依藤 崇志 順天堂大学, 医学部, 助教 (10597058)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 絨毛細胞 / CD44 / シグナル伝達 / 再生 |
Research Abstract |
胎児発育遅延の主なる原因として胎盤絨毛細胞障害があるが、修復過程の制御機構については知見が乏しい。合胞体栄養細胞は絨毛間腔を形成し、細胞膜にはへパラン硫酸/へパリンといった糖鎖が豊富に存在している。へパラン硫酸/へパリンはその受容体であるCD44および各種増殖因子受容体を介しPAK、Stat3、Aktといった細胞内シグナル伝達系分子により細胞遊走を促し、創傷治癒にかかわると考えられる。自律的修復の制御機構について受容体-細胞内シグナル伝達系に注目し検討した。[方法] 1)胎盤由来ヒト不死化細胞TCL-1細胞を用いへパリン存在下、抗ヒトCD44多クローン抗体、siRNA CD44を添加し、各種条件でインビトロスクラッチ法をおこなった。2)ウェスタンブロット(WB)法によりTCL-1細胞膜上の受容体の発現を検討した。3) へパリン並びスクラッチ によるPAK1リン酸化、及びに抗CD44v3抗体存在下でのヘパリン誘発PAK1リン酸化をWB法により検討した。4) リポフェクタミン法によるsiRNA CD44処理後、CD44経時的発現を検討した。[結果]1) へパリン存在下で閉創率がコントロールと比較して有意に上昇した。一方、抗ヒトCD44多クローン抗体またはsiRNA CD44存在下では、へパリン存在下での閉創率と比較して有意に低下していた。2) CD9、cytokeratin-7、CD44、CD44v3、EGF受容体の発現を認めた。3) へパリン並びスクラッチによるPAK1リン酸化を認めた。抗CD44v3抗体存在下でヘパリン誘発PAK1リン酸化は抑制された。4) siRNA CD44感染TCL-1細胞はCD44発現が抑制された。[考察] 絨毛細胞がへパリンにより他の増殖因子のシグナリングを直接的には介さず、CD44v3を介して細胞移動を促進し組織修復を行うことを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
それまでの実験の基礎の存在
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Strategy for Future Research Activity |
ヒト絨毛細胞初回培養細胞を用いた研究
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ヒト絨毛細胞初回培養細胞の単離本年度の研究については主として既存の実験系により遂行したため、試薬等の消耗も予想を下回り、当該研究費が生じが、本年は新たな実験系により検討を行う。ヒト絨毛培養細胞におけるCD44機能の検討a)多クローン抗CD44抗体およびその抗splicing variant form抗体存在下でI-A)で用いた方法によりTCL-1、HTR-8/SVneoおよびヒト胎盤絨毛培養細胞での遊走能を検討する(。b)CD44機能抑制因子であるガレクチン-9によるTCL-1、HTR-8/SVneoおよびヒト胎盤絨毛培養細胞での遊走能を検討する。c)入手可能なヒトCD44 (HCAM) siRNAのTCL-1、HTR-8/SVneoおよびヒト胎盤絨毛培養細胞への感染導入によりCD44 発現をknockdownし、その遊走能を検討する(杉村、牧野、大学院生2名)。なお、Western blottingおよび半定量RT-PCR法によるCD44たんぱく発現ならびにCD44遺伝子発現について確認を行う。また、細胞内でのリン酸化への影響を検討するためにIn-Cell Western assay法を用いる。
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