2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23592423
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
東海林 博樹 金沢医科大学, 一般教育機構, 准教授 (10263873)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
有川 智博 金沢医科大学, 一般教育機構, 講師 (70452670)
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Keywords | ガレクチン / 胎盤 / 妊娠 / trophoblast / invasive trophoblast / 浸潤 / 合胞体 |
Research Abstract |
本研究では胎盤組織形成に重要なガレクチン分子種を同定し、その作用機構の解明を目的としている。平成23年度の研究成果から、ラット絨毛癌由来栄養膜細胞株Rcho-1の分化にともなって、ガレクチン4の発現が抑制されることが明らかとなった。また、Rcho-1は浸潤性の栄養膜巨細胞や合胞体栄養膜細胞に分化するとされるが、当研究室での分化状態についてDNAマイクロアレイにより精査したところ、浸潤性の栄養膜巨細胞への分化がより顕著であった。そこで平成24年度は栄養膜細胞の、浸潤性細胞への分化とガレクチン4の関わりに着目して解析を進めた。まず、ガレクチン4の発現について、浸潤性細胞よりも合胞体への分化傾向が強いとされるマウスTS細胞について解析したところ、分化にともなう発現レベルに変化は認められなかった。この結果はガレクチン4の発現抑制が、浸潤性細胞への分化機構と関わりが深いことを示唆するものである。そこで次に、Rcho-1細胞にガレクチン4を強制発現させ、分化誘導後もガレクチン4発現が維持される状態にしたときの影響を解析した。その結果、通常Rcho-1分化系では分化とともに大型細胞が増加するが(栄養膜巨細胞)、ガレクチン4強制発現系ではこれが抑制傾向にあることが分かった。すなわち、コントロールと比較して、分化誘導後も小型の細胞が多かったのである。以上の結果から、Rcho-1細胞が未分化状態で発現しているガレクチン4が、減少あるいは消失することが、浸潤性の栄養膜巨細胞への分化機構に重要であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、Rcho-1細胞分化系を中心に、胎盤栄養膜細胞の分化と特に関わりが深いと目されるガレクチン分子種の同定が進んでいる。中でも特にガレクチン4に着目し、胎盤組織での発現パターン解析やRcho-1細胞分化系での強制発現実験を行った。その結果、ガレクチン4が栄養膜細胞の未分化状態の維持、あるいは分化の制御に関わることが示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
中心課題の一つは、栄養膜細胞の浸潤能獲得にガレクチン4がどのように関わるのかということの解明にある。このために、ラットRcho-1細胞のみならず、ヒト胎盤由来JAR細胞やHTR-8細胞などの浸潤性細胞の分化モデルも導入し、それらを含めた遺伝子操作実験等を進めていきたい。さらに、レンチウイルスを用いたマウス個体レベルでの遺伝子操作実験にも着手する。 また一方、ガレクチン4以外に栄養膜細胞の分化過程で発現変化の認められた分子種(ガレクチン9,12他)についても、機能解析を行って行く予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度も、比較的消耗品費がかさむ培養実験、分子生物学実験などが中心となるため、これらが主たる使途となる。ただ、本研究室は歴史が浅く、未だ汎用機器類も他研究室からの借用に頼ることが多々あるため、この点を少しでも解消すべく、消耗品費に不足のでない範囲で小型機器の購入も検討する。その他、動物実験、学会発表旅費や論文の英文校正費にも充てる。
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Research Products
(6 results)