2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23592423
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
東海林 博樹 金沢医科大学, 一般教育機構, 准教授 (10263873)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
有川 智博 金沢医科大学, 一般教育機構, 講師 (70452670)
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Keywords | ガレクチン / 胎盤 / 栄養膜細胞 / invasive trophoblast / 浸潤 |
Research Abstract |
本研究では胎盤組織形成におけるガレクチンファミリーの機能解明を目的とした。平成23年度~24年度においては、ラット絨毛癌由来栄養膜細胞株Rcho-1の分化系を中心に解析を行い、19種同定されているガレクチン分子種のうち、特にガレクチン4が栄養膜細胞の分化制御に重要である可能性が示された。 平成25年度においては、Rcho-1細胞に加えて、ヒト絨毛癌由来栄養膜細胞株JEG3を用いて、ガレクチン4の機能解析を進めた。まず、Rcho-1細胞にガレクチン4を強制発現させた影響について、タイムラプス動画によりさらに詳細に解析したところ、細胞の運動性が抑制傾向にあることが観察された。栄養膜細胞の浸潤性細胞への分化がEMT(上皮間葉移行)様の現象であることを考え合わせると、ガレクチン4の強制発現がこれを抑制していると考えられた。よって、この結果は昨年度までの「ガレクチン4の発現抑制が、浸潤性細胞への分化に重要である」との仮説を支持するものである。 一方、Rcho-1細胞におけるガレクチン4タンパク質の発現を詳細に解析したところ、従来知られているタンパク質よりも分子量が小さい新規isoformの存在が示唆された。さらに、ヒト胎盤組織やJEG3細胞におけるガレクチン4の発現を解析すると、スプライシングisoformが見つかり、Rcho-1細胞に見つかったisoformと関連する分子である可能性が示唆された。胎盤栄養膜細胞の分化制御にはガレクチン4新規isoformが重要である可能性が高い。 本研究により、ガレクチンファミリーによる栄養膜細胞分化制御機構の一端が明らかとなった。また、従来から注目されているガレクチン13(妊娠高血圧症候群発症リスクマーカーとして期待されている)に加えて、ガレクチン4も臨床応用に向けた研究開発への発展が期待できると考えられた。
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