2011 Fiscal Year Research-status Report
細胞外基質Fibulin‐1の解析による着床障害の病態解明
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23592425
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
岡田 英孝 関西医科大学, 医学部, 講師 (80330182)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 生殖医学 |
Research Abstract |
近年の生殖補助医療における凍結融解胚移植周期治療の経験から、時宜を得たエストロゲンおよびプロゲステロンの補充が着床率の向上に重要であることが示されている。このような背景のもと、子宮内膜機能調節を理解するためには、性ステロイドホルモンに制御される標的遺伝子の解析が重要となる。マイクロアレイ法を用いてヒト子宮内膜細胞でプロゲステロンにより制御される遺伝子の発現動態を網羅的に検討した。その成果として、Fibulin-1という細胞外基質タンパクがプロゲステロンで早期に誘導されることを見出した。ヒト子宮内膜でFibulin-1がどのように制御されているかを検討し、そこに関連する因子を同定するのを目的とした。ヒト子宮内膜組織を機械的および酵素的に融解して、培養ヒト子宮内膜間質細胞を分離培養し分子生物学的機能解析を行った。これらの細胞におけるFibulin-1 mRNA発現は、プロゲスチンの時間依存的に誘導されており、添加培養3日目には既に有意な増加をみとめた。RU-486(プロゲステロンレセプター拮抗剤)の同時添加によりその効果が消失することも確認した。しかしながらエストロゲン添加では全く変化がみられなかった。これらの細胞にプロゲスチンあるいは子宮内膜を調節する重要な因子であるVEGF(Vascular Endothelial Growth Factor)、SDF-1(stromal cell-derived factor 1)を単独あるいは同時に添加した。培養後の細胞からRNAを抽出・精製し、cDNAを作成してリアルタイムPCR法を用いFibulin-1の発現変化の時間的・空間的に検討した。プロゲスチンによるFibulin-1誘導効果に、これら局所因子の影響を認めなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒト子宮内膜でFibulin-1が子宮内膜局所因子によりどのように制御されているかを細胞・分子生物学的に検討し、そこに関連する因子を同定することを目的としている。Fibulin-1はプロゲスチンより特異的に誘導される因子であることを確認しつつあり、計画は順調に進んでいると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞外基質タンパクであるFibulin-1は、細胞接着・移動、創傷治癒、血管新生など多くの役割を果たしていると考えられている。ヒト子宮内膜培養細胞の増殖能、分化能能への影響について、Fibulin-1を発現抑制した細胞にて機能解析を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度の実験を継続しつつ、増殖能は、WST-8アッセイやチミジン細胞内DNA取り込み試験にて検討する。分化能については、細胞の形態的変化と分化(脱落膜化)のマーカーであるプロラクチン分泌能をELISAにて検討する。Fibulin-1の発現を抑制した脱落膜化細胞でプロラクチン分泌能の変化を明らかとする。さらに、Fibulin-1の臨床的意義を検討するため、不妊症例から子宮内膜を採取してFibulin-1の発現解析を行う予定である。
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Research Products
(17 results)