2013 Fiscal Year Annual Research Report
AMPK・mTORシグナルをターゲットとした子宮筋腫に対する新治療戦略
Project/Area Number |
23592430
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
武田 卓 近畿大学, 東洋医学研究所, 教授 (20301260)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
築地 謙治 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40528155)
李 賓 東北大学, 学内共同利用施設等, その他 (20566814)
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Keywords | 子宮筋腫 / メトホルミン / mTOR / HIF1 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
①ラット子宮筋腫モデル細胞株であるELT-3細胞に対して、糖尿病治療薬であるメトホルミンのVEGF産生抑制機構についてさらに詳細な検討を加えた。メトホルミンは低酸素条件下でのHIF1αの蛋白合成を抑制し、VEGF発現に抑制的に作用した。メトホルミンはHIF1αシグナル上流のmTORC1を構成するraptorのリン酸化を抑制した。以上の内容を第16回世界婦人科内分泌学会で発表(口演)した。 ②ヒト子宮筋腫移植モデルマウスにメトホルミンを投与し、CD31免疫染色による血管新生への抑制効果を確認した。HIF1α蛋白の免疫染色も併せて実施したが、安定した結果がえられずに条件設定を検討している。 ③メトホルミン投与中の筋腫合併PCO患者における、筋腫サイズの変化に関しての臨床的検討では、プレリミナリーな検討しか実施できておらず、さらに今後の検討が必要とされる。 これまでの全体の検討により、メトホルミンはin vitro、in vivoにおいて子宮筋腫の細胞増殖ならびに、血管新生系の両者に抑制的に作用することが明らかとなった。糖尿病治療薬であるメトホルミンは、一般臨床においても汎用される薬剤であり、また婦人科領域では多嚢胞性卵巣の排卵障害改善薬としても使用されている現状からすると、比較的副作用の少ない薬剤といえる。メトホルミンはこのように安全な薬剤であり、今後の実地臨床での応用が期待できる。子宮平滑筋肉腫においても同様のメカニズムの存在を示唆するデータが得られており、極めて予後不良の腫瘍である肉腫治療への応用も期待できる。
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