2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23592435
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
碓井 宏和 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (90375634)
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Keywords | 侵入奇胎 / 雄核発生奇胎 / マイクロアレイ / 絨毛外栄養膜細胞 |
Research Abstract |
本研究は、侵入奇胎特異遺伝子の同定が目的である。胞状奇胎組織は、細胞性栄養膜細胞・合胞体性栄養膜細胞・中間型栄養膜細胞・間質細胞の複数の細胞集団から構成されている。このためターゲット遺伝子の絞り込みが困難になっているのではないかと考えた。そこで、胞状奇胎絨毛の初代培養を行い、純化した絨毛外絨毛細胞におけるmRNAの発現を侵入奇胎になった症例と自然寛解した症例で比較することにより侵入奇胎特異遺伝子の抽出を試みた。 初期絨毛初代培養の報告(Blood 106: 428-435, 2005)に準じて、胞状奇胎の初代培養を行い、これまでに、12例の胞状奇胎で初代培養を行った。本年施行した6例のうち1例が侵入奇胎を発症した。この症例を含めて、培養開始48時間後に絨毛外絨毛細胞(EVT様細胞;EVTs)を回収した。EVT特異マーカーであるHLA-G抗体によるMACS法により、HLA-G発現細胞の純化を行った。RNAを抽出し、RT-PCR法によって、beta Actin, HLA-G, p57KIP2, hCG, HIF-1の発現を検討した。HLA-G, p57KIP2, hCG, HIF-1の発現は、侵入奇胎発症例と、自然寛解した症例ではっきりした差を認めなかった。 また、同時に抽出したEVTsゲノムDNAを用いて、胞状奇胎組織のゲノムとの間のメチル化に差があるかをインプリント遺伝子であるKvDMRについて検討した。 胞状奇胎の初代培養を継続し、侵入奇胎発症例を含めてEVTsを獲得し、MACS法でEVTを純化し、マイクロアレイ解析を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年施行した初代培養症例で、侵入奇胎発症例が1例であった。雄核発生奇胎では20-30%で侵入奇胎が発症するため、20症例の初代培養を行うと、4-6例程度の侵入奇胎例が発生する。本年は初代培養が6症例と十分ではなかった。胞状奇胎手術が不定期に施行されるため、培養実施率を上昇させるのが困難であった。
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Strategy for Future Research Activity |
初代培養を継続し、20症例を目標とする。継続して、培養を行うことで、侵入奇胎を発症した絨毛外絨毛細胞を確実に回収する。本年度に当科で施行した、胞状奇胎手術は20例であったが、初代培養実施率は30%(6/20)であった。次年度は、培養実施率を上昇させ、EVTを確実に回収してゆく。 またマイクロアレイの情報と文献情報を合わせて、侵入奇胎特異遺伝子の候補となるタンパク質に対する抗体を用いて、免疫染色を施行する(侵入奇胎症例・自然寛解症例各20例)。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は、十分な検体数のEVTが獲得できたのが、年度末に近い時期であったため、予算の一部が執行できなかった。次年度に当初の予定通り、マイクロアレイ受託研究を始め、細胞培養維持費、免疫染色用抗体費用として使用予定である。
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