2011 Fiscal Year Research-status Report
mTORC2をターゲットとした卵巣癌の分子標的治療・予防の可能性の検討
Project/Area Number |
23592446
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
馬淵 誠士 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00452441)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澤田 健二郎 大阪大学, 医学部附属病院, 助教 (00452392)
磯部 晶 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60397619)
橋本 香映 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90612078)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 卵巣明細胞腺癌 / mTORC1 / mTORC2 / everolimus / 耐性化機構 |
Research Abstract |
我々は、漿液性腺癌と明細胞腺癌からなるTissue Microarrayを用い、免疫組織染色法によって、mTORC2が卵巣明細胞腺癌でより高頻度に(最も高頻度な卵巣癌である漿液性腺癌と比べ)活性化していることを証明した。また、卵巣癌モデルマウスを用いた研究により、mTORC1阻害剤であるeverolimus(mTORC1阻害剤)を投与し続けると腫瘍は耐性化を来し、その耐性化した腫瘍ではmTORC2活性が強いことを確認した。次にIn vitroにおいて、卵巣明細胞腺癌株をeverolimusに持続暴露させることによってeverolimus耐性株を樹立した。これを用いてmTORC2の活性を検討したところ、everolimus感受性株に比較してeverolimus耐性株の方がmTORC2が強く活性化していることが明らかとなった。また、卵巣明細胞腺癌細胞にeverolimusを投与すると、mTORC1は阻害されるが、mTORC2は逆に活性化することが確認された。以上より、mTORC2は卵巣明細胞腺癌において高頻度に活性化しており、mTORC1阻害剤に対する耐性化に関与している可能性が示された。次に、明細胞腺癌細胞にmTORC1/2阻害剤であるAZD8055を投与することによってmTORC1だけでなくmTORC2も同時阻害すると、everolimus(mTORC1阻害剤)投与の際に観察されたmTORC2の活性化が抑制された。またeverolimus耐性株におけるmTORC2活性を抑制すると、細胞増殖が抑制され、アポトーシスが誘導されることが示された。これらの結果より、(1)mTORC1阻害剤耐性化にmTORC2が関与し、(2)耐性化した細胞のmTORC2活性を抑制することにより、mTORC1阻害剤耐性を解除できることが示された(投稿準備中)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
我々は平成23-24に二年間に、(1)卵巣癌におけるmTORC2活性化頻度、(2)mTORC1阻害剤耐性化へのmTORC2の関与の検討、(3)mTORC2を標的とした治療の有用性の検討、の三つの課題を解明することを目標としていた。我々は、平成23年度に、上皮性卵巣癌においてmTORC2が高頻度に活性化すること、mTORC1阻害剤耐性化にmTORC2が関与し、耐性化した細胞のmTORC2活性を抑制することによってmTORC1阻害剤耐性を解除できることを示した。現在投稿準備の段階である。上記研究計画の内、(1)(2)の全て、及び(3)の一部の検討を終えたことになるため、我々は、"研究は計画以上に進展している"と判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、mTORC2を標的とした卵巣癌治療の有用性の検討を細胞株もしくはヌードマウス卵巣癌移植モデルを用いて行う予定である。そのために、まず、細胞株を用いて、上皮性卵巣癌の進展におけるmTORC2の役割を検討する。具体的にはmTORC2が、卵巣癌細胞の(1)浸潤能、(2)増殖能、(3)血管新生促進能、(4)リンパ管新生促進能、に関与するかについて検討する予定である。これらの検討が終了すれば、次にmTORC2を阻害することによって卵巣癌の進展が抑制されるか(mTORC2を標的とした治療の有効性)を、細胞株およびヌードマウスを用いて検討する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1.卵巣癌細胞株の培養費用2.mTORC2の浸潤能への関与の検討:In vitro invasion assayを行う。3.mTORC2の増殖能への関与の検討:MTS assayおよびフローサイトメトリー法を行う。4.mTORC2の血管新生への関与の検討:保有する血管内皮細胞を用い、Tube formation assayおよびマウスを使ったIn vivo angiogenesis assayを行う。5.mTORC2のリンパ管新生への関与の検討:リンパ管上皮細胞を用いた購入し、これを用いてTube formation assayを行う。6.mTORC2を標的とした治療の検討:shRNAおよびmTORC2阻害剤を購入し、これらを細胞株およびマウスに投与する。
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Research Products
(5 results)