2013 Fiscal Year Annual Research Report
カルボニールレダクターゼの機能解析ー新たな機序による分子標的治療の開発に向けてー
Project/Area Number |
23592452
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
村上 明弘 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70379965)
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Keywords | carbonyl reductase / 上皮間葉転換 / 子宮体癌 |
Research Abstract |
【目的】子宮体癌におけるcarbonyl reductase(CBR)の機能解析とその分子機序を明らかにする。また、in vivoで腫瘍細胞にCBRを過剰発現させ、浸潤・転移の抑制を目指した新たな機序による分子標的治療の開発を目的とする。 【方法】子宮体癌細胞SNG-MにCBRのセンス(CBR-S)およびアンチセンス(CBR-AS)cDNAを遺伝子導入し、in vitroにおいて1)細胞増殖、2)invasion assayおよびMMPの発現について検討した。EMTに関して、3)E-cadherinとその転写因子の発現4)上皮・間葉マーカーの発現を検討した。さらに、in vivoにおいて5)上記遺伝子導入細胞をヌードマウスの皮下に移植し、8週間後にautopsyし、腫瘍形成能を検討した。 【結果】1)CBR-ASでは明らかに腫瘍細胞の増殖が亢進した。2)CBR-ASではMMPの分泌が亢進し、細胞浸潤能が有意に亢進した。3,4)上皮マーカーであるE-cadherinとcytokeratin 18の発現はCBR-Sで増加し、CBR-ASでは低下した。また、E-cadherinの転写抑制因子であるSnail、ZEBの発現はCBR-Sで低下し、CBR-ASでは増加した。一方、間葉マーカーであるfibronectinおよびSMAの発現はCBR-ASで増加した。5)in vivoで形成腫瘍はCBR-ASで有意に大きく、一方CBR-Sでは腫瘍の増殖が有意に抑制された。8週間後でも摘出腫瘍ではEMTが維持された。 【意義・重要性】in vitro 実験において癌細胞でCBRの発現を増加させることによって、癌細胞の浸潤能を抑制した結果は画期的である。本研究の結果より CBRを標的分子としてEMTを抑制し、癌の浸潤・転移の抑制、腫瘍増殖抑制を目的とした新規の分子標的治療の開発に結びつく可能性がある。
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