2011 Fiscal Year Annual Research Report
子宮頸部腺系病変における細胞所見の定量的解析とエピジェネティクスの変化の解析
Project/Area Number |
23592456
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
岩坂 剛 佐賀大学, 医学部, 教授 (60117067)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 正俊 佐賀大学, 医学部, 准教授 (40230669)
中尾 佳史 佐賀大学, 医学部, 講師 (30336119)
城 圭一郎 佐賀大学, 医学部, 准教授 (90124809)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2012-03-31
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Keywords | エピジェネティクス |
Research Abstract |
HPV感染が子宮頸癌発癌に重要な役割を果たしていることが報告されている。また、病変の進展に、検出されるHPVの型およびHLA Class IIの違いが関係していることが報告されている。本研究では、エピジェネティクな変化の観点から、子宮頸部病変の進展のリスクを検索することを目的とした。子宮頸癌における癌抑制遺伝子であるレチノイン酸レセプターβ2(RAR β2)の発現低下の機構を明らかにするため、子宮頸癌細胞株および子宮頸癌組織におけるRARβ2の発現および同遺伝子プロモーター領域のDNAメチル化およびヒストン修飾の状態を解析した。その結果、浸潤子宮頸癌組織および頸癌細胞株では、DNAのメチル化により、RARβ2のプロモーター領域の発現低下が高頻度に認められた。ほとんどのRARβ2陰性の頸癌ではメチル化が認められたが、メチル化が見られないにもかかわらずRARβ2の発現低下が見られる一群が観察された。こうしたメチル化が起こっていないRARβ2陰性の頸癌では、プロモーター領域のヒストンの修飾が観察された。こうした頸癌では、ヒストンの脱アセチル化阻害剤を作用させることによりRARβ2の発現が再活性化した。加えて、メチル化も起こっている頸癌もあるが、こうした頸癌のRARβ2発現を再活性化するために、DNAの脱メチル化剤は有効であったが、ヒストンの脱アセチル化阻害剤は無効であった。結論として、RARβ2の発現低下には、DNAのメチル化およびヒストンの修飾といった2つの主要なエピジェネティクな経路が考えられること、さらにHPV DNAの存在とRARβ2発現との関係をみると、HPV陰性の子宮頸癌細胞株では、すべてRARβ2の発現がみられ、その癌化過程にRARβ2が関係していない可能性が示唆された。
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