2011 Fiscal Year Research-status Report
卵巣癌における間質細胞・間葉系幹細胞による免疫抑制機構の解明と克服法の開発
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23592464
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
岩田 卓 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (30296652)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 知信 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (20199334)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 腫瘍免疫 |
Research Abstract |
本研究では、癌間質の由来の一つとされる骨髄由来間葉系幹細胞(MSC)に着目し、間質細胞と免疫細胞、癌細胞の三者の相互作用を分子・細胞レベルで解析し、癌微少環境における間質細胞の意義を腫瘍免疫学的見地から解明することを目的とする。本年度はがん微小環境中のMSCを単離するためのマウスモデルを二つ考案し作製を試みた。一つ目のモデルでは、まず、GFPマウスより骨髄MSC (PDGFRα+, Sca1+)を、野生型マウスより骨髄細胞を採取し、野生型マウスに骨髄移植しMSC由来の細胞のみがGFPで標識されたキメラマウスを作製した。このマウスにマウス卵巣がん細胞を皮下移植したところ、2-3週間後に腫瘍局所にGFP陽性細胞を認めた。このことから、骨髄由来のMSCが癌局所に移動していることが分かった。二つ目のモデルでは、まず、マウス癌細胞株にdsRED遺伝子を導入し、癌細胞を蛍光で標識した。この腫瘍をGFPマウスに皮下移植し、腫瘍組織内のGFP+, dsRED-, CD45-, TER119-, PDGFRα+, Sca1+細胞を腫瘍浸潤MSCとして単離することを試みた。この際MSCを染色する抗体の蛍光標識の様々な組み合わせを検討した結果、APC-Cy7標識-抗CD45抗体、APC-Cy7標識-抗TER119抗体、PC-7標識-抗Sca1抗体、APC標識-抗PDGFRα抗体で染色することにより、腫瘍組織内よりPDGFRα+, Sca1+細胞を単離、培養する事に成功した。このモデルにより、腫瘍組織内の間質にも骨髄でのMSCと同様のマーカーで染色される細胞集団が存在することが証明された。今後、これら二つのマウスモデルを用いて、がん局所のMSCの遺伝子プロファイルを網羅的に解析し、性質を解明、がんの悪性形質にどのように影響を与えるかを解析する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度は、卵巣癌腫瘍中のMSCを分離解析するためのさまざまマウスモデルを検討し、2つのモデルを確立することができた。これらのモデルを用いて、平成24年度はがん局所のMSCの性質に関して、研究を進めていくことができる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度以降の研究は、平成23年度に確立した2つのマウスモデルにおいて、分離した腫瘍浸潤MSCの性質を以下の実験を行い解析していく予定である。1.腫瘍浸潤MSCの発現遺伝子をGene Chipを用いて網羅的に解析し、骨髄MSCもしくは、腫瘍内のPDGFRα+, Sca1+以外の細胞集団と比較することにより、腫瘍浸潤MSCの性質を解析する。また、本モデルで分離された腫瘍浸潤MSCのMSCとしての多分化能も検討する。2.腫瘍浸潤MSCが免疫細胞に与える影響をin vitroで解析する。両者を共培養し、免疫細胞が受ける影響を免疫細胞の表面マーカー発現、サイトカイン産生、抑制性のDC(regulatory DC: DCreg)や制御性T細胞(regulatory T cell: Treg)誘導能により評価する。3.腫瘍浸潤 MSCが抗腫瘍免疫に与える影響をin vivoで評価する。上記マウスモデルにおいて分離した腫瘍浸潤MSCとマウス卵巣癌細胞株を混合してマウスに皮下移植し、腫瘍浸潤MSCが癌細胞の増殖、及び、抗腫瘍免疫応答に与える影響を評価する。4.ヒトでの評価。ヒト卵巣がん組織より二つのマーカーで腫瘍浸潤MSCを分離し、その性質を解析する。具体的には、MSCとしての多分化能をまず検討し、次に免疫関連の分子の発現を中心に解析を行う。5.腫瘍浸潤MSCを標的とした腫瘍免疫抑制環境の解除法の開発。以上の研究で腫瘍浸潤MSCによる、免疫抑制をはじめとする癌悪性形質への関与が証明された場合、MSCを標的とした治療を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度は物品費を103万円見積もっていたが、抗体が安価での購入が可能であったため、91万円で実験を遂行することが可能であった。旅費は当初予定では学会参加が1回であったものを2つの学会に出席し、予算超過となった。その他支出は当初予算より2万円程度少なかった。結果、72350円を繰り越した。平成24年度の研究費は主に消耗品、旅費、論文投稿料などに使用予定である。消耗品としては、MSCの染色に必要な抗体の購入、各種免疫細胞の染色に必要な抗体の購入、Gene Chipの購入、動物実験のための動物購入と飼育費、シャーレなどの一般的な培養の為の試薬と器具の購入、プライマーなどの一般的な分子生物学的実験の為の試薬と器具の購入に使用する。旅費は、本研究の成果発表の為、がん免疫学会、産婦人科学会などの学会の参加のために使用する。
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Research Products
(2 results)